【玉ノ井親方 視点】大栄翔2度目賜杯か、霧馬山初Vか「14日目の不戦勝は影響与える可能性ある」

[ 2023年3月25日 19:45 ]

大相撲春場所14日目   ○大栄翔(突き倒し)翠富士● ( 2023年3月25日    エディオンアリーナ大阪 )

<大相撲14日目>若隆景の負傷休場で不戦勝となる霧馬山(右)=撮影・後藤 正志
Photo By スポニチ

 勢いと番付の差が出た一番だった。

 11日目から連敗していた翠富士にとって、優勝経験のある小結の大栄翔は、胸を借りる気持ちで思い切って当たれる相手だった。昨年の秋場所で対戦した時は、立ち合いで変化したが、この日は真っ向勝負で低い態勢から前に出た。

 一方の大栄翔は前回の経験から翠富士の注文相撲を警戒し、むやみに踏み込まず相手の出方を見るように、もろ手突きで立った。それでも最初の当たりで翠富士の上体をのけぞらせると、すかさず回転の良い重い突きを見舞って、そのまま前へ。最後は相手が、膝から崩れ落ちる完勝だった。

 これで優勝争いは2敗の大栄翔と3敗の霧馬山の2人に絞られた。千秋楽は賜杯を懸けて直接対決する。

 過去の対戦成績は7勝6敗のほぼ互角だが、ここ2場所は大栄翔が連勝している。霧馬山にすれば、相手の突きをかわして、先にまわしを取りにいきたいところだろう。ただ、そのためには、まず立ち合いでしっかり当たって、大栄翔の出足を止めることが大事だ。

 気になるのは、この日の相手の若隆景が休場したため、不戦勝になったこと。1日休養できたという考え方もできるが、土俵で相撲を取らなかったことで、気の緩みが出てしまう可能性もある。私だったら土俵に上がって、勝って千秋楽を迎えたかった。その方がリズムが良くなり、勢いも出るからだ。ただ、この“空白の1日”をどう感じるかは人それぞれ。霧馬山は体を休めることができて良かったと受けとめているかもしれない。

 いずれにしろ、千秋楽の好勝負を期待したい。
(元大関・栃東)

続きを表示

この記事のフォト

2023年3月25日のニュース