坂本花織、日本勢初の連覇も「もっと強い選手になりたい」 連続ジャンプでミスも重圧乗り越え涙

[ 2023年3月25日 04:33 ]

フィギュアスケート世界選手権第3日 ( 2023年3月24日    さいたまスーパーアリーナ )

連覇を達成し、日の丸を背にウイニングランする坂本花織(撮影・長久保 豊)
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 女子フリーが行われ、坂本花織(22=シスメックス)が145・37点をマークし、合計224・61点で優勝した。全種目を通じて日本勢で初の連覇を達成した。三原舞依(23=シスメックス)は132・24点で合計205・70点として5位。アイスダンスの村元哉中(30)、高橋大輔(37)組(関大KFSC)は、リズムダンス(RD)で72・92点をマークして11位発進となった。

 ずっと悔し涙を流し続けた。演技直後に泣き、キスアンドクライで歓喜の瞬間を迎えても坂本は泣いた。日本勢で初となる連覇。快挙を達成しても、複雑な感情を抱えたまま表彰台の真ん中に立った。

 「4年前のリベンジと思っていたけど、全く同じミスをしてしまった。情けない。メダルを見たらうれしいけど、顔を上げたら悔しさがこみ上げてくる」

 冒頭のダブルアクセル(2回転半)から次々とジャンプを決めながら、後半の連続ジャンプは最初の3回転フリップが1回転になった。初出場だった日本開催の19年大会、フリーで同じようにフリップの回転が抜けて1回転となり、SP2位から5位に終わった。その悪夢がよみがえった。

 だが、ミスの直後に崩れることなく3回転トーループをつけたのが意地であり、4年間の成長でもあった。フリー2位ながら、SPの貯金を生かしての快挙に、中野園子コーチは「2連覇は運が良かった」と語った一方で「あのトーループをやっていなかったら2位になっていた。とっさに(ジャンプを)締めたのは偉かった」と評価した。

 「もっと強い選手になりたい。緊張があっても焦っても、最後まで滑りきれる選手になりたい」

 今大会、大きなテーマに掲げていたのが4年前から脳裏に残る苦い記憶の「上書き保存」。気持ちよく払拭することはできなかったが、昨季に続いて世界女王に輝いた。3連覇への思いを問われると「はやっ!」と返し「あと10カ月後ぐらいに考えたい」と苦笑い。この経験が、また坂本を強くする。

 ≪全種目通じて日本勢初の快挙≫坂本が達成した2連覇は、全種目を通じて日本勢初の快挙。前回優勝して今大会に臨んだ坂本、男子の宇野を除いて過去の世界選手権優勝者は男女計7人いるが、いずれも高い壁に阻まれた。男子では14年に初制覇の羽生結弦は、翌15年はフェルナンデス(スペイン)に逆転を許して2位。女子では07年安藤美姫、08年浅田真央、10年浅田、11年安藤と女王がめまぐるしく入れ替わる時期があった。

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2023年3月25日のニュース