IOCのジャック・ロゲ前会長が死去 79歳 五輪と組織改革に尽力

[ 2021年8月30日 08:34 ]

79歳で亡くなったIOCのジャック・ロゲ前会長(AP)
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 国際オリンピック委員会(IOC)の会長を2001年から2013年まで12年間務めたジャック・ロゲ氏(IOC名誉会長)が死去。IOCが29日に発表したもので79歳だった。死因は公表されていない。

 ロゲ氏はベルギーのヘントで1942年に生まれ、セーリングのフィン級代表として1968年のメキシコ五輪から3大会連続で五輪に出場。ラグビーでも国内選手権で16回優勝を飾り、代表選手ととして10年間プレーするなどベルギーを代表するアスリートとして活躍した。

 1年に5000人を診察して800人の患者の執刀医となった整形外科医だったが、ベルギー五輪委員会、欧州五輪委員会で会長を歴任。2001年にIOCの第8代会長に就任し、2013年のIOC総会では「TOKYO」と記された紙を掲げて、東京五輪の開催決定を発表した。

 五輪での政治的パフォーマンスには厳しい態度を示し、招致活動に関してIOCの“腐敗”が問題視された2002年のソルトレイクシティー冬季五輪では豪華なホテルではなく選手村に滞在して注目を集めた。

 医師という立場もあってドーピング対策も新たな検査技術を導入するなどで強化。開催経費の増加には歯止めをかけることはできなかったが、五輪の規模を抑制するため競技数や参加選手数の削減といった新たな方向性も示した。

 AP通信によれば、中国やロシアなどに対する人権問題には“静観”したために批判を集めたが、若い世代の国際交流や教育を理念としたユース五輪も創設。自身は「地味なリーダーです。人の意見を聞いてから分析するチーム・ワーカー」と語っていたが、独裁的で秘密主義と言われた前任のフアン・アントニオ・サマランチ元会長(2010年に89歳で死去)とは対照的なスタンスでスポーツ界最大の組織を率いた。

 葬儀はアン夫人と2人の子どもと孫を含む近親者のみで行い、年内に追悼式が催されることになっている。

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