渋野 耐えて74、単独首位守り最終日へ「足が浮いた状態。ドラえもんの気分」

[ 2020年12月14日 02:30 ]

米女子ゴルフツアー 全米女子オープン 第3日 ( 2020年12月12日    テキサス州ヒューストン・チャンピオンズGC=6731ヤード、パー71 )

第3R、18番でバンカーショットを放つ渋野(AP)
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 予選ラウンドを単独首位で折り返した渋野日向子(22=サントリー)は1バーディー、4ボギーの74で回り通算4アンダーで首位を守った。1打差の2位にエーミー・オルソン(28=米国)。6位から出た笹生優花(19=ICTSI)は1バーディー、5ボギー、1ダブルボギーの77、岡山絵里(24=ニトリ)、高橋彩華(22=東芝)と並ぶ通算4オーバーの25位に後退した。

 ショットの切れは鈍っていたが、頭の回転はキレキレだった。渋野は緊張が抜けきれなかった一日を「足が5センチ浮いた状態でゴルフをしていました。ドラえもんの気分です」と独特の言い回しで振り返った。

 この日アンダーパーで回ったのは66選手中わずか2人だけ。各選手がメジャー独特の難しいコース設定に苦しむ中、渋野も例外ではなかった。2日連続で首位は守ったものの、恒例の自己採点は前日の120点から「70点くらい」。それでも「粘ることは粘れた」と必死に前を向いた。

 朝起きた時は全くなかった緊張感は、1番のティーイングエリアに立った瞬間に最高潮に達した。「久々の首位で決勝を迎え、しかもメジャー。どうやって緊張って解けるんだろう」と自問自答しながらのラウンド。緊張で体を思うように動かせなかったことがアイアンショットに影響を及ぼし、パーオン率は3日間で最も低い61%。前夜の雨の影響でボールに泥が付着する悪条件下でのプレー。無罰で球を拭くことができるプリファードライの措置が取られなかったこともあり「耐えるゴルフしかできなかった」。支えになったのは海外遠征でスキルアップしたアプローチ。「(どう寄せるか)考えるのが楽しい。成功した時の、イメージ通りにいった時のうれしさは半端じゃない」。この日唯一のバーディーだった5番はバンカーからの3打目をピン奥1メートルにつけた。17番ではグリーン手前のラフからカップの縁をかすめる巧みな寄せでパーをセーブした。

 3打開いていた2位との差は1打差まで縮まった。優勝争いの重圧は増すばかりだが「スコアを落としてもトップでいるのは不思議な気持ち。奇跡的にまだ1位にいる」と前向きに捉える。耐えるゴルフで首位を死守し、昨年8月の全英女子オープンに次ぐ日本人初の海外メジャー2冠に王手をかけた。

 ▽ドラえもん 藤子・F・不二雄さんによる国民的漫画「ドラえもん」の主役で、2112年9月3日生まれのネコ型ロボット。おなかについている四次元ポケットから、未来の秘密道具を出して野比のび太を助ける。足は反重力の機能で、地面から3ミリ浮いているという。渋野は第1日に「“出木杉君”なんです(笑い)」と登場人物、出木杉英才の名前を出していた。なお、渋野のキャディーバッグにはドラえもんとドラミの人形がついている。

 ▽プリファードライ 悪天候などによりコース状況が著しく悪化した場合に、無罰でコース場の球を拾い上げて拭くことができるという趣旨のローカルルール。競技主催者や競技委員会が適用を判断する。今大会を主催する全米ゴルフ協会(USGA)は、前日夜に雨が降った第3ラウンドでは適用せず、各選手が泥のついた球を打つ場面が多くあった。

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2020年12月14日のニュース