日大QB林 右肩じん帯完全断裂に耐えて完全燃焼「誇りに思う」

[ 2020年12月14日 05:30 ]

アメリカンフットボール・スポニチ後援三菱電機杯 第75回毎日甲子園ボウル   日大24-42関学大 ( 2020年12月13日    阪神甲子園球場 )

<関学大・日大>敗戦に肩を落とす日大フェニックス(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 戦い終えた日大のQB林大希(4年)は「もう終わったんで…」と涙ぐんだ声で右肩じん帯を完全断裂していたことを打ち明けた。

 「いろんなことを乗り越えてきた。日大フェニックスとして、エースとして、4年間歩めたことを誇りに思う。自分を褒めたい」

 先月29日の桜美林大との優勝決定戦で負傷。以降は練習もできず治療に努めた。「右腕が使えなくなっても出場するつもりだった」。決意した前日12日に橋詰功監督から「エースはお前だから」と10番を託された。

 日大では歴代QBが背負ってきたエース番号。付けるのは史上初めて1年生でミルズ杯に輝いた3年前の甲子園ボウル以来だ。戻ってきた大舞台。入場時は四方それぞれに頭を下げた。「フットボールができることに感謝し、応援してくれる人、対戦相手に礼を」。あの騒動後、ずっと続けてきた儀式だった。

 注射を打ち、右肩には痛みも含めて感覚がなかった。パスはもう一人のQB小野に任せ、ラン中心に…と臨んだ一戦。「監督がパスをプレーコールしてくれた。何が何でも通す気持ちだった」。序盤は短い距離だけ。第1Q終了間際には一時勝ち越しのTDパスを決めた。劣勢の第4QにはTDを狙って約30ヤード先のエンドゾーンへ。紙一重でグラウンドに弾み、「あの距離を投げられたことが奇跡」とうなずいた。

 「どれだけつらいことがあるんだろうと思った。それが消えた。ここで仲間と戦えたことがうれしくて、全部忘れた」。目も鼻も赤くなった顔を上げ、赤いユニホームで胸を張った。

 ≪日大指揮官「完敗」≫日大・橋詰功監督は「完敗。ディフェンス、オフェンスとも向こうが上回っていた」と認めた上で「林(大)がベストな状態で試合をさせてやりたかった」とエースQBの負傷を悔やんだ。「反則タックル騒動」で当時の監督とコーチ(いずれも不起訴処分)が退任。公募に申し込み、18年9月にOB以外では初めて監督に就任。今季で一区切りを迎え、「選手はよく頑張った。フットボール選手としてだけでなく、人として成長してくれた」とうなずいた。

続きを表示

2020年12月14日のニュース