羽生、四大陸初Vへ 伝説のSP曲ノーミス舞い「もう少しだけ、この子たちの力を借りてもいいかな」

[ 2020年2月6日 05:30 ]

練習する羽生結弦(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケート四大陸選手権は6日に韓国・ソウルで開幕する。5日には会場の木洞アイスリンクで公式練習が行われ、4度目の出場で初制覇を目指す男子の羽生結弦(25=ANA)は五輪2連覇を達成した18年平昌大会以来となる実戦用のショートプログラム(SP)曲「バラード第1番」を披露。オリジナルの演目をミスなく演じ、本来の羽生らしさが戻ってきた。男子SPは7日に行われる。

 ピアノの旋律とともに、重圧から解き放たれていくかのようだった。羽生が本番リンクで臨んだSP「バラード第1番」の通し練習。実戦用で舞うのは18年2月16日の平昌五輪以来、実に719日ぶりだった。4回転サルコー、3回転半、4回転―3回転の連続トーループを着氷。ステップやスピンも含めミスなく演じてみせた。

 会場から大歓声が湧き、ブライアン・オーサー・コーチも大きな拍手で伝説プログラムの復活を歓迎。羽生は「凄い緊張したとともに、改めてこのプログラムを滑る覚悟をさせられた感じがした」とすがすがしく語った。

 SPだけではない。平昌五輪時からルール改正され、フリーの演技時間は4分30秒から4分へ短縮。1月にブラッシュアップした令和版「SEIMEI」も試行した。平昌で回避した大技4回転ルッツを冒頭に跳び、4回転サルコー、3回転半、3回転フリップも間髪入れずに決めた。進化の一端が垣間見えた。

 シーズン途中に勇気ある選択ができたのも、回り道があったから。昨季から演じる演目は憧れのジョニー・ウィアー氏とエフゲニー・プルシェンコ氏へのオマージュ作品。憧れの先人たちの背中を求め続けたが、昨年12月の全日本選手権後のアイスショー「メダリスト・オン・アイス」で「SEIMEI」を気持ちよく滑れたことで心は揺れた。

 「カバー曲とオリジナル曲じゃないですけど、そのくらいの違いを凄く感じた」。昨年12月のGPファイナル、全日本選手権と苦しい戦いが続き、自問自答。年明けに演目変更を決断した。「伝説として語り継がれるような記録を持ってしまっている子たちなので、できれば寝させてあげたかった」。伝説のプログラムを独特の表現で語り「もう少しだけ、この子たちの力を借りてもいいかなって思いました」と笑った。

 誰のためでもない。これからの羽生は羽生のために舞う。「自分らしく滑りたい」――。心からの渇望が、王者を限界の先に連れていく。

 ▽四大陸選手権 欧州を除く国と地域で争う大会。大会名はアジア、アメリカ、オセアニア、アフリカの大陸を指す。1998~99年シーズンから毎年開催。韓国では3年ぶり7度目の開催。 

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