陵侑の強さの秘密は「本州スタイル」 日本人初ジャンプ週間完全V

[ 2019年1月8日 08:33 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ男子個人第11戦 ( 2019年1月6日    オーストリア・ビショフスホーフェン ヒルサイズ=HS142メートル )

船木和喜氏
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 【スポニチ評論家・船木が語る技術】1997〜98年シーズンに日本人選手として初めてジャンプ週間を制した本紙評論家の船木和喜(43=フィット)は、小林陵の歴史的「完全制覇」をどう見たか。今も現役として戦う男の分析で浮かび上がったのは、時代に合致した小林陵の技術。それを育んだ岩手県出身という地域的背景だった。

 素晴らしいジャンプを見せてくれた陵侑に「ありがとう」と「おめでとう」を伝えたい。私は3連勝のあと、ビショフスホーフェンで8位。雪が溶け、助走スピードが出ない苦手な条件に泣かされたが、ナイターで、助走路の精度も上がった今、実力がはっきり出た試合だったと思う。

 陵侑の技術的な特徴は、空中でのスキーと体のバランスだろう。踏み切り後、視線を遠くに定めることで前に進もうとする上体を抑えている。スキーは、シューズ内のパッドで角度を調整することで裏面が進行方向に正対し、浮力を逃がさない。また、上体とスキーの位置が決まるまでが速く、その後はほとんど動かないので、無駄な抵抗を受けない。

 実は、上体の前傾を抑えてスキーの間に生む空間が、最も大きな浮力をキャッチする。陵侑のフォームが(W杯53勝)シュリーレンツァウアーに似ていると言われるゆえんだろう。

 背景には日本の地域性が影響していると指摘したい。北海道は選手に有利な向かい風を想定してジャンプ台が設置されており、それを生かすための前傾姿勢を深めるのが基本技術。結果、上体とスキーの間は密着する。一方、向かい風が前提でない本州で最重要視される技術は「空中で動かず抵抗を受けない」こと。これが陵侑のジャンプの源流だろう。近年は安全確保などのために助走スピードを落とす傾向があり、選手有利な条件で飛べるケースは減った。つまり、推進力ではなく浮力重視の陵侑の技術は、今のトレンドに合致する。日本選手初の個人総合優勝の可能性は十分で、あとは体調維持だけに気をつけてほしい。 (98年長野五輪2冠)

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