大阪桐蔭、悲願の初優勝 CTB高本「勇気」のタックルで救った

[ 2019年1月8日 05:00 ]

第98回全国高校ラグビー最終日 決勝   大阪桐蔭26―24桐蔭学園 ( 2019年1月7日    東大阪市・花園ラグビー場 )

後半、江川(左)への強烈なタックルでターンオーバーを誘う大阪桐蔭・高本(撮影・北條 貴史)
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 大阪桐蔭(大阪第1)が桐蔭学園(神奈川)とのAシード対決を26―24で制し、悲願の初優勝をした。前半、2トライを先制しながら3トライを返される接戦。後半にモール攻撃で再逆転し、さらにCTB高本幹也(3年)が再三のスーパータックルでピンチを救った。桐蔭学園は6度目の決勝で、またも単独優勝を逃した。トップリーグの神戸製鋼に続き、関西勢が高校も制した。

 タックルの鬼が大阪桐蔭にいた。後半ロスタイム、2点差逆転を狙った桐蔭学園の自陣からの反撃。CTB高本がギャンブルにも似た猛突進で、外に展開する手前で、相手に突き刺さった。ボールを奪い返す。FWが時間を稼いだ後、自らの左足でタッチに蹴り出し、ノーサイド。花園に白いユニホームの歓喜の輪ができた。

 「余られていたのでドンピシャで入ろうと。勇気がいりました」

 好守の場面をヒーローが振り返った。最後の一発だけではない。後半に4回、スーパータックルでボールを奪い返した。2トライを先制した後に3トライを返された前半は、春の選抜王者の展開に手を焼くも、鋭い出足で何度も封じた。

 狙い澄ましたタックルの数々は、分析の結果だけではない。「僕の判断です」。鋭い反射神経は幼少時から。観戦した母・博美さん(48)は「海で泳ぐイカを網で簡単にすくっていました」と振り返る。野生生物を捕獲するという難しい芸当をする一方で、「タックルされるのが嫌で逃げ回っていた」と幼き日々を懐かしがった。高本は体のぶつけ合いをチーム一嫌う男だったのだ。

 準優勝の昨年は、卓越した攻撃センスで2年生ながらSOを任された。しかし、守備の時だけは、接触プレーから最も遠いFBへ移動した。そんな“守備ベタ”に対し、綾部正史監督(43)は無理強いして短所を埋める指導をしなかった。

 遡ること、7大会前。下馬評が高かったものの、花園出場を逃した。「負けて指導方針を変えた。当時は、できないことをやれといっていた。嫌なことをやらしてもしょうがない」。最終学年になり、司令塔は自主的に行動に出た。山本健太コーチは「1対1の個人練習もよくしていたし、練習の中でも体をぶつけていた」と、変化を口にした。その成果が大舞台で表れた。

 CTB松山主将は「結果を出せて良かった」と初優勝の余韻に浸った。松山も高本も3人兄弟の末っ子で、上2人も大阪桐蔭ラグビー部OBだ。

 いや、2人だけではない。決勝メンバー23人中8人が、兄の後を追って白いジャージーに袖を通した。プロップ江良にいたっては、父一也さんもOBだ。つながりの濃さはどこにも負けない。「ちょっとは兄ちゃんのぶんまで喜ばせようと思った」と高本。悔しさが受け継がれてきた部の歴史に、ようやくサヨナラを告げた。

 ▽大阪桐蔭 1983年創立の私立校。硬式野球部は春夏を合わせて、8度の甲子園大会制覇。OBにプロ野球阪神の藤浪晋太郎や日本ハムの中田翔ら。吹奏楽部も強豪。

 <背中に「白い旋風」>○…ユニホームの背中にある「WHIRL WIND」は、旋風などの意味がある。ユニホームが白。過去に「白い旋風」と称えられた時があったそうで、綾部監督は05年の就任後に、ユニホームにその英語を加えた。

 <大阪勢2年連続21回目の栄冠>○…大阪桐蔭が優勝し、大阪勢が昨年度の東海大仰星に続いて2年連続21回目の優勝をした。大阪勢の最多は常翔啓光学園の7回。21回は都道府県別の全国最多。2位は東京都の16回。3位で京都府と秋田県が15回で並んでいる。

 <神戸製鋼、大阪桐蔭…天理大も続け!>○…今季は関西勢の躍進が目立つ。社会人は、神戸製鋼がトップリーグを15季ぶり、日本選手権を18季ぶりに制した。高校は大阪桐蔭が制し、残すは大学。天理大が、12日の全国大学選手権決勝で明大と対戦する。これまで、関西勢が同一年度に高校、大学、社会人を制したことはない。平成最後を、関西一色にできるか。

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