脚本家降板にコロナ禍「エール」逆境続きも“音楽の力”と窪田正孝の“座長力”が牽引!29日から一時休止

[ 2020年6月26日 08:15 ]

連続テレビ小説「エール」の主演・窪田正孝とヒロイン・二階堂ふみ(C)NHK
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 俳優の窪田正孝(31)が主演を務めるNHK連続テレビ小説「エール」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は26日、第65話が放送され、第13週「スター発掘オーディション!」が終了。新型コロナウイルスの影響のため、来週29日から一時休止に入る。脚本家の降板、コメディアン・志村けんさん(享年70)の訃報、新型コロナによるPR不足と2カ月半の収録中断など、予想外の事態が続出。それでも連日、関連ワードがツイッターのトレンドに入るなど反響を呼び、平均世帯視聴率は20・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大台超え。収録は今月16日に再開され、リスタートを切った。朝ドラ史上、前代未聞の“逆境”の連続をはねのけた要因を探り、前半戦を総括した。

 朝ドラ通算102作目。男性主演は2014年後期「マッサン」の玉山鉄二(40)以来、約6年ぶりとなる。モデルは全国高等学校野球選手権大会の歌「栄冠は君に輝く」などで知られ、昭和の音楽史を代表する作曲家・古関裕而(こせき・ゆうじ)氏(1909~1989)と、妻で歌手としても活躍した金子(きんこ)氏。昭和という激動の時代を舞台に、人々の心に寄り添う曲の数々を生み出した作曲家・古山裕一(窪田)と妻・音(二階堂ふみ)の夫婦愛を描く。

 昨年9月中旬にクランクインし、撮影が進む中、NHK「ハゲタカ」、フジテレビ「医龍」「コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―」シリーズ、テレビ朝日「アイムホーム」などの話題作・ヒット作を手掛けた脚本家・林宏司氏が途中降板したことが11月に判明。NHKは異例の交代劇の理由について「制作上の都合」とし、詳細を明らかにしなかった。後任は清水友佳子氏、嶋田うれ葉氏。チーフ演出の吉田照幸監督も執筆に加わった。当初はどうなることかと心配したが、コメディー色も奏功し、大崩れはしていない。

 窪田と二階堂が“原始人”になり、朝ドラ史上最古(?)の紀元前1万年から始まる初回冒頭のプロローグは林氏のアイデア。林氏は第6週(5月4~8日)まで「原作」、第7週(5月11~15日)以降は「原案」とクレジットされている。

 稀代のコメディアン・志村さんは3月29日、新型コロナウイルスによる肺炎のため亡くなった。ドラマが順調にスタートした30日朝、初回放送終了から約1時間半後に伝わった悲報だった。

 朝ドラはもちろん、最初で最後のドラマ出演。主人公に大きな影響を与える大御所作曲家・小山田耕三を演じ、5月1日に放送された第25話に初登場した。その後、8回登場(回想は除く)。生前、撮影時に語った「いつもの志村けんらしくない、こんなこともやりますよってところを見てもらえれば、うれしいね」のコメント通り、笑いを封印した重厚な演技に大反響。毎回、短い出番ながら、圧倒的な存在感を放っている。

 志村さんの撮影済みシーンは残り少なくなっているとみられ、以降は「ナレーションを使って志村さんを登場させる形を検討している」(関係者)。

 報道陣を呼び込むインタビュー取材は“3密”を避けるため、窪田が2月に雑誌媒体向けの合同取材を実施した以降、ほぼ機会が失われた。第1週試写会は3月中旬、参加者10人程度の小規模なものに変更し、計6回実施されたが、恒例の主演(ヒロイン)の登壇はなし。主要キャラクターを演じる二階堂ふみ(25)唐沢寿明(57)山崎育三郎(34)らのコメントは書面によるもの。地元・福島を絡めたトークショーなども未開催。例年に比べ、明らかなPR不足に陥った。

 収録は4月1日から休止。16日、2カ月半ぶりに再開された。キャスト同士の距離は2メートルを守り、リハーサル中もフェースシールドを着用。スタッフによるセッティングもカメラ、照明、美術など部署ごとに段取り。従来の撮影より時間がかかるため、その進み具合が放送再開時期を決めることになりそうだ。

 このようなマイナス要素だらけの状況にありながら、座長の窪田が牽引した。

 まずは演技。音を“陽”とすれば、裕一は“陰”。窪田も“受けの芝居”に回ることが多いが、2015年6月の単発ドラマから始まり、16年10月期に連続ドラマ化、17年5月に映画化もされた日本テレビ「THE LAST COP/ラストコップ」シリーズで刑事バディを組み、今回は父子役の唐沢は「裕一役はある意味、彼(窪田)の真骨頂じゃないかと思いますね。俳優にとって“強さ”は出せても、裕一のような“弱さ”って、なかなか出せないんですよ。裕一役は、彼の中にある繊細さが存分に生かされた役だと思いますね」と絶賛。

 テクニカルの面のみならず「主役には主役なりの何かが必要なんです。覚悟も含めて、共演者やスタッフを引き込んでいかないといけない。何で引き込むかは人それぞれですけどね。現場にいると『何とか引っ張っていこう』という彼の座長としての心意気が伝わってきます」と窪田の“精神的支柱ぶり”を明かした。

 窪田と約5年ぶりの共演となった山崎も「以前は勢いのある若手俳優といった印象でしたが、今回はガラリと変わって、座長としての風格を強く感じますね。作品に関わるすべての人に意識を向けながら、その誰とも誠実に接している。歳は僕より2つ下なのですが、彼のそんな姿勢に強い刺激を受けるとともに深い信頼を置いています」と口を揃えた。

 そして何と言っても、作品のテーマそのものにして物語を彩る“音楽の力”“歌の力”が大きい。週平均視聴率(月~金曜、ビデオリサーチ調べのデータを基に算出、関東地区)の番組最高は第8週(5月18~22日)の21・8%。裕一が作曲した早稲田大学の応援歌「紺碧の空」誕生に注目が集まった。オペラを猛特訓した柴咲コウ(38)や二階堂、山崎や古川雄大(32)らミュージカル俳優、森山直太朗(44)や野田洋次郎(34)らシンガー・ソングライターの“本物”の歌声も視聴者を魅了してやまない。

 NHK「月刊みなさまの声」4月分には「声楽家として学生を指導しているが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で仕事が少なくなっている。そんな中、主人公が音楽に出会って、自分の存在意義を見いだし始めている姿にとても救われる(50代女性)」「歌うことが好きで合唱をしているが、感染リスクになるとされ、音楽を否定されたようで、つらい気持ちだった。このドラマを見て『音楽はいいんだ』と再認識した(50代女性)」などの感想があった。

 山崎も「タイトルが示すように、この作品は見る方に寄り添い、励ましのメッセージを送るようなドラマです。何よりも、そこに音楽の力が加わることで、より強いメッセージを届けられる。是非『エール』という作品から、音楽の力を感じ取っていただきたい」。“音楽の力”“歌の力”が「エール」という作品を確固たるものにしている。

 窪田、山崎とともに「福島三羽ガラス」を演じる中村蒼(29)は収録休止中、共演者とは敢えて活発に連絡し合っていないとし「今は早く現場で一体感を味わいたいとか、みんなに会いたいとか、いい意味でフラストレーションを起爆剤にして、台本や作品と向き合っています」と“新章”への意欲を口にした。撮影は慎重に進められるが、1日も早い放送再開が待たれる。

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