怪談の島田秀平(下)「怖い話を一つか二つお持ちでしょう?」

[ 2020年6月26日 14:00 ]

「怪談を話すと、話し上手になります」と語る島田秀平
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 【牧 元一の孤人焦点】YouTubeチャンネル「お怪談巡り」が人気のタレント・島田秀平(42)は「怪談には話術の元になるものがギュッと詰まってる。『間(ま)』『抑揚』『情景描写』。落語家さんの中には弟子を取るとまず怪談を教える人もいる。怪談を話すと、話し上手になります」と語る。

 これから本格的な夏を迎え、怪談の需要は高まる。仕事や私生活での会話力を向上させるために怪談に挑んでみるのも一興かもしれない。

 「もし、みなさんが怪談を話すなら、心掛けた方が良い点が3つあります」

 まずは「情景」。その話の舞台設定をできる限り詳しく説明することが大切で、例えば「某県の某病院」と簡単に話すのではなく「茨城県常総市にある病院。その病院は3階建てのコンクリート造り。10年くらい前に閉鎖になって、今は草木に囲まれ、ひっそりとたたずんでいる」などと細かく描写する。

 次に「音」。話の途中にさまざまな音を入れていくのが効果的で、例えば「後ろから足音が聞こえてきたんです」と話すのではなく「後ろから、コツン、コツン、コツンと足音が聞こえてきたんです」と音を入れて話す。その際に「コツン、コツン」と2回ではなく「コツン、コツン、コツン」と3回にした方がより足音が近いてくるイメージがわきやすい。

 そして最後に「セリフ」。登場人物の言葉を織り交ぜていくのが重要で、例えば「そこは危ない場所だった」と、ひと言で表現するのではなく、A「ここはヤバい場所なんだよ」B「え、何がヤバいの?」A「実は昔、ここで人が…」B「えーっ!」と会話にすると恐怖感が募りやすい。

 「こういう話し方には僕がお笑い芸人をコンビで10年やってたことが生きてます。フリがあってツッコミがあってオチに向かって話が進んでゆく。だから、芸人さんが怪談を話すと怖い。『すべらない話』と『怖い話』は表裏一体なんです」

 昨年夏に始めたYouTubeチャンネル「お怪談巡り」にはそんな話術が生かされ、登録者数は13万8000人に到達。「みなさんもきっと怖い話を一つか二つはお持ちだと思います。凄い怪談を埋もれたままにしてしまったらもったいない。ぜひ紹介させて頂きたいので、YouTubeのコメント欄にお寄せいただけるとありがたいです」と話す。

 怪談の活動はYouTubeにとどまらない。今のコロナ禍を乗り越えれば、その先に目標が控えている。

 「怪談は大勢だと一体感が生まれます。修学旅行やキャンプファイア、親戚の集まりなんかで話すと、みんな『怖い、怖い』と言いながら、終わった後、ちょっとした同志みたいな感じになる。その感覚が楽しいんです。大きな会場じゃなくてもいいから、いろんな場所を回って話していきたいと思ってます」

 令和の世の怪談の進化に期待する。

 ◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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