藤井七段、師匠・杉本八段に勝利 竜王戦ランキング戦史上初4期連続V 

[ 2020年6月21日 05:30 ]

第33期竜王戦3組ランキング戦決勝の対局に臨んだ杉本昌隆八段(右)と藤井聡太七段(日本将棋連盟提供)
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 将棋の藤井聡太七段(17)が20日、大阪・関西将棋会館で、師匠・杉本昌隆八段(51)との第33期竜王戦3組ランキング戦決勝に臨み、95手で勝った。師弟戦は一昨年の第68期王将戦1次予選2回戦以来で、藤井の連勝となった。これで竜王戦でのランキング戦は4期連続優勝で、史上初。23日の第61期王位戦挑戦者決定戦へ弾みになった。

 棋士の勝負服、和服姿の師匠の気迫を盤上で受け止めた。戦型は杉本の得意戦法・四間飛車。均衡を保った中盤戦が長く続き、斬り合いへ突入したのは対局開始から12時間近く後。王手飛車を見据えた「叩きの歩」を相手にせず、角で王手を放つ踏み込みから杉本王を追い込んだ。午前10時に始まった対局が終わりを迎えたのは、午後10時10分だった。

 「大きな舞台で楽しみにしていた。ランキング戦での優勝は一つの目標だった」。木村一基王位、永瀬拓矢2冠と並び立った3期連続優勝を塗り替え「(決勝トーナメントを)今回こそしっかり戦いたい」と意気込みを新たにした。その竜王挑戦権を11人で争う決勝トーナメントへ3組から進出できるのはただ一人。「和服、将棋も一手一手力がこもっていて、そういう気持ちを忘れずに指していきたい」。勝てば第19期以来の出場だった師匠の思いまで引き継ぐ覚悟を示した。

 師弟対決は2度目。一昨年3月8日の王将戦1次予選以来だった。59手目で千日手となり、指し直し局はこの日と同様四間飛車。藤井が居飛車穴熊を採用し、111手で制した。「奨励会時代にたくさん教えていただいて…。活躍していかねば」。弟子が公式戦で師匠に勝つ「恩返し」を果たし、有言実行を証明したこの2年3カ月だった。

 藤井は第91期棋聖戦5番勝負に挑戦中。今月8日、都内での第1局は渡辺明棋聖=王将、棋王との3冠=に勝ち、28日に第2局に臨む。その間に、23日には第61期王位戦7番勝負の挑戦者決定戦を永瀬と戦う。タイトル初挑戦のさなかにダブルタイトル戦を決めようかという躍進ぶり。「スケジュール的には経験したことがないかもしれません」。7月19日で18歳になる高校3年生の夏はもうすでに暑い。

 ◆師弟対決第1Rプレーバック 2018年3月8日、大阪市の関西将棋会館で指された第68期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)1次予選の2回戦。開局前はピリピリムード。互いに相手と視線を合わせず。59手目で千日手に。指し直し局は111手で藤井が勝利。杉本の投了直後、これまでの感謝の気持ちを込めるかのように藤井は盤につきそうなぐらいに深々と一礼。「うれしい。とてもいい経験になった」と“恩返し”の一勝を喜んだ。

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2020年6月21日のニュース