安住アナ レコ大司会7年目も「怖さと興奮」40代後半は未到の局アナ像に挑戦「マネる階段がない分…」

[ 2018年12月30日 08:00 ]

「第60回輝く!日本レコード大賞」の司会を7年連続で務める安住紳一郎アナウンサー(C)TBS
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 TBS「第60回輝く!日本レコード大賞」は30日午後5時半(一部地域を除く)から5時間半にわたって生放送される。司会は7年連続の同局・安住紳一郎アナウンサー(45)と初の女優・土屋太鳳(23)。平成最後にして節目の60回目を迎える年末の風物詩。安住アナに大役に臨む心境や失敗談、今後のアナウンサー人生などについて聞いた。

 今年も東京・初台の新国立劇場から生中継。27日、リハーサル初日を迎えた同所で、3年ぶりに安住アナを取材した。

 前回は「1年目の緊張が一番かと思ったんですが、回数を重ねると、逆に怖さが増してきます。不思議なものですね。理由は分からないです。分析すると怖くなるので」と4年目でもレコ大司会に慣れないと明かしたが、今年も「それは毎年、変わりませんね。怖いので、リハーサルは全部、出ています」。局アナとして「裏方がベラベラしゃべるのは本意ではないんです」という姿勢も前回から一貫しているが、平成最後にして節目の60回目に「60回も続く音楽の祭典もなかなかありませんから、今回は折に触れてレコード大賞の歴史もお話しできたらと考えています。時間の兼ね合いもあるので、うまくいくか分かりませんが、私の言葉の端々から視聴者の皆さんにレコード大賞の伝統を感じていただけたら」と司会進行のプランを練っている。

 前回は、司会に必要な要素に「人柄」と「進行の滑らかさ」があると分析。自身は進行寄りだからこそ「司会は人柄」と痛感し、黒柳徹子(85)との仕事を引き合いに「私がインタビュー対象者に質問をした時、最初は僕の方を見てくれるんですが、途中から黒柳さんの方を見ちゃうんですよね。黒柳さんに話をした方が分かってくれると瞬間的に判断される。私に対する信頼が小さいわけで、結構ショックでした。そういうことを経験すると、結局、司会者は最終的に人柄なんですが、自分はまだまだ人間としての器量が足りないと思います」と語っていた。

 この3年間の自己評価は?と水を向けると「もちろん心掛けてきましたが、人間としての器量が大きくなったかは定かではありません。ただ、敢えて言えば、放送局に勤めて22年、一緒に働く仲間のことも分かるようになってきましたので、放送局社員という立場を生かしてスタッフとの人間関係を築いてきたつもりです。それは、芸能人の方とは違うコミュニケーションの取り方だと思います」

 例えば、今回のインタビュー前に新国立劇場・中劇場のステージを見学していると、安住アナはタイムキーパー(番組のコーナー毎の時間や全体の長さを確認し、指示を出す人)の長谷川道子さんとあいさつを交わした後に「今年は7分の曲があったよね?(全歌唱が生放送の尺に収まるかはタイムキーパーの腕次第)」(安住アナ)「この人(安住アナ)、しゃべり過ぎるから、尺の調整が大変なんです」(長谷川さん)などと軽口を叩き合っていた。安住アナは「スタッフのチームワークの良さが画面からも伝わっているといいと思います」とした。

 今年は30日が日曜日になったため、前日29日にビートたけし(71)とのレギュラー「新・情報7daysニュースキャスター」(土曜後10・00)の年末スペシャル「超豪華!ワイドショー2018年総ざらい決定版」(後9・00)の生放送、当日朝には05年から続くTBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」(日曜前10・00)の生放送。翌31日には「平成最後の大晦日SP!SASUKE2018&ボクシング井岡一翔世界タイトルマッチ」(後6・00)に生出演し、SASUKE史上初の生中継実況に挑む。

 例年、年末は多忙だが「今年は分かりやすく忙しいですね」。毎年、レコード大賞終了後にパーティーが催されるが「今年は解放感も程々に翌日の準備をしないといけませんから、深酒できません」と笑いを誘った。ラジオ「日曜天国」は途中、赤坂のスタジオを抜け出し、初台に移動。レコード大賞はTBSラジオでもテレビと同時に生放送されるため、機材があり「日曜天国」の最後は新国立劇場から生中継。「1人で張り切っているみたいで、恥ずかしいんですが」と冗談めかした。

 レコード大賞の失敗談を尋ねると「いっぱいあります」という中から、女優の天海祐希(51)と司会を組んだ16年、大賞の封筒が開かないハプニングを挙げた。「手前から開こうとしても、ダメなんです。紙が剥がれるかというぐらい力を入れても、なかなか開かない。私が困っていると、先に新人賞の発表の時に封筒が開かなかった天海さんが、もの凄く響くウィスパーボイスで後ろから『逆』。開く部分が手前ではなく、奥になっていたんですね。その年のティンパニーロールは異常に長かったです」と思い返し、笑った。

 「もともとテレビっ子だったので、自分が小さい頃に夢中になっていた番組、あこがれていた世界に携われている興奮は40(歳)を過ぎてもあります。TBSで仕事をしている人間の1人として、レコード大賞の放送に関わることができるのは非常に光栄に思います」

 昨年のオープニング。「2017年、天海さんにとってはどんな1年でしたか?」と聞くと「素敵な方々と素敵なお仕事をさせていただいて、本当に幸せな1年でした。安住さんはいかがでしたか?」と返され「私も私生活以外は、とても充実していました」と自虐。今年も「私生活は、ほどんどなかったと思います。ずっと仕事に翻弄されて、我ながらビックリする時があります。『ぴったんこカン・カン』か『金スマ』(中居正広の金曜日のスマイルたちへ)のロケをしている夢を見ますから。仕事好き?それ(仕事)しかないみたいです」

 「好きな男性アナウンサーランキング」(オリコン調べ)は09年に5連覇を達成して殿堂入り。13年にはアナウンス部次長になり、後輩の指導も行うが「自分がこういうふうになるとは思いませんでした」と時の流れを感じる。今後のアナウンサー人生は、どのように展望しているのか。

 「私たちの職業の特性なんですが、呼ばれたところで全力を尽くすということをポリシーにしています。求められなくなれば、年齢的なこともありますし、今抱えている仕事もいずれは終わりを迎えるということも覚悟しています。そうなれば、次の仕事へという気持ちはいつも持っています。後輩には、放送人としての気概をきちんと持っていてほしい。まずは自分がしっかり体現し、そして後輩にマネしてもらうようになればと思っています」

 97年の入社以来、「例えば、番組を締め方は松平定知さん、話の導入は徳光和夫さん、インタビューは久米宏さん、1人しゃべりは古舘伊知郎さん、ユーモアの線は生島ヒロシさん」などと尊敬してやまない先輩たちをハイブリッドして自身を形作ってきたが「ここから先、局アナを続けた人もあまりいませんから、これからは自分で自分を作らないといけないと感じています。局アナとしてマネる階段があまりない分、それはそれでおもしろい。仕事に対するモチベーションは自分で見つけるしかありませんし、放送に対していかに真摯に向き合っていけるかだと思います」。40代後半、安住アナが前人未到のアナウンサー像に挑む。

 ≪結婚観に変化?≫前回取材の15年は9月に歌手の福山雅治(46=当時)が結婚。「週刊文春」11月12日号が緊急アンケート「結婚したい男」を実施し、安住アナは1位の俳優・佐々木蔵之介(47=当時)に次ぐ2位にランクインした。結婚観を問うと「私は結婚には向かないタイプなので。結婚願望?ないですよ。2位?ビックリしました」と苦笑いだったが、心境の変化はあったのか。「いつかは、ちゃんと(結婚)しなきゃとは思っているんですよ。自分の人生、どういうふうにまとめようか、悩んでいるところなんです。ちゃんと(結婚)しなきゃと思いながら、行動には移していないですし、本気度はどうなんだと突っ込まれると…」と困っていた。

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