安定のTBS、復活傾向のフジ、日テレがつかんだヒント 18年のテレビドラマから見えたもの

[ 2018年12月30日 09:30 ]

ドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と」に出演した戸田恵梨香(左)とムロツヨシ
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 ドラマを評価する一つの指標として視聴率が挙げられるが、テレビの前に座って見るだけでなく、「視聴のすがた」が多種多様化した現在では、視聴率の数字と見る側の満足度が必ずしも比例しない。2018年、各テレビ局が繰り出したテレビドラマを視聴率や視聴者満足度から振り返ってみた。

 民放ドラマの最高視聴率という点で見ると最高値を記録したのは1月期に放送された松本潤主演「99・9−刑事専門弁護士−SEASON2」最終話で21・0%、続いて7月期の綾瀬はるか主演「義母と娘のブルース」(ともにTBS系)最終話で19・2%と、TBSドラマの快進撃が目立った。

 視聴者に好評だったTBSのドラマを挙げると視聴率も好調だった「義母と娘のブルース」をはじめ、7月期放送の松本穂香主演「この世界の片隅に」や秋に放送された戸田恵梨香主演の「大恋愛〜僕を忘れる君と」が挙げられる。テレビの視聴状況を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(エイト社、東京 対象960人)の満足度調査は各回とも4点台前後(5段階評価、3・7以上が高満足度基準)を記録した。視聴率とともに視聴者満足度も高いドラマが多く、かつて「ドラマのTBS」と呼ばれた同局だが、平成の最後にきて再度その看板を掲げても恥ずかしくない作品が並んだと言えそうだ。

 平成の前半期にドラマの世界をけん引したフジテレビは、ここにきてようやく光明が見え始めた1年となった。昨年10月期の篠原涼子主演「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」から3期連続で平均視聴率1桁だった同局の代表的ドラマ枠“月9”は、7月期の沢村一樹主演「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」と織田裕二主演「SUITS/スーツ」がそれぞれ10・6%、10・8%と2クール連続で2桁を獲得。15年10月期の石原さとみ主演「5→9〜私に恋したお坊さん〜」以来3年ぶりの復調となった。

 中でも「絶対零度」は視聴者にも好評。「だんだん明かされる謎が気になった」(32歳女性)など、終盤まで引っ張るストーリーの“種明かし”を、中盤で早くもバラしてしまったことが逆に新鮮で最終回まで視聴者を手放さなかった。

 もう一つのドラマ枠「木曜劇場」も、7月期の山崎賢人主演「グッド・ドクター」が平均視聴率11・2%を記録。満足度調査では7月期ドラマトップに輝いた。視聴者の感想を見ると「山崎賢人がうまい。以前のドラマとは全く違うので素晴らしい」(53歳・女性)「山崎賢人君の演技力、半端ない」(17歳・女性)など、これまで見たことのなかった俳優・山崎賢人への評価が集まったのも特徴だった。

 近年はバラエティととともにドラマも好調だった日本テレビだが、視聴率という点ではやや厳しい展開となった。看板枠の“水10”は、広瀬すず主演「anone」、吉高由里子主演「正義のセ」、石原さとみ主演「高嶺の花」、新垣結衣主演「獣になれない私たち」と、豪華で話題性のあるキャスティングの4作を制作したがいずれも平均2桁を超えられなかった。視聴者満足度も足踏み状態が続いた。

 気を吐いたのが、11月度に満足度4・40という高数値で同月の番組調査全体でトップとなった賀来賢人主演の「今日から俺は!!」。ドラマを見ない、とも言われる10代の支持が圧倒的だった点は特筆できる。「毎回大爆笑」(17歳女性)、「面白すぎて死にそう」(18歳女性)、など、“笑い”で10代視聴者のツボを押さえた。最終回で最高視聴率を獲得するなど、新しいドラマ作りのヒントをつかんだことは間違いなさそうだ。

 年明け早々の1月2日にはTBSが「下町ロケット」の特別編を放送するなど、各クールを越えた新しい形を打ち出すケースも珍しくなくなるだろう。CS放送、ネットTVも続々と独自のドラマを制作している。平成から新時代へ、これまでにないテレビドラマの新時代を視聴者は待っている。

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2018年12月30日のニュース