「ARC九州」伊東勤総監督 都市対抗野球福岡県一次予選で充実のアマ“初采配” 

[ 2023年4月26日 09:00 ]

選手をグータッチで迎える伊東総監督(右)
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 3月13日に発足した北九州市を拠点とする社会人野球のクラブチーム「ARC九州」の総監督を務める伊東勤氏(60、本紙評論家)がこのほどスポニチの取材に応じた。解説業の傍ら練習に駆けつけ自身の経験を伝えている。22日には都市対抗野球福岡県一次予選の初戦でベンチ入りして指揮も執り、強豪のJR九州に4―5で惜敗するなど手応えを感じている。

 WBCで侍ジャパンが世界一を達成。もうすぐ開幕して1カ月となるプロ野球も盛り上がりを見せる中、熊本県出身でNPB通算626勝を記録し、09年の第2回WBCでは総合コーチとして世界一連覇に貢献した伊東総監督は生まれ故郷の九州で社会人野球の世界に飛び込んでいる。

 初のアマチュア指導も1カ月が過ぎ、「プロでやってきた人間がこういう世界でやるのも、これから先、野球人口を増やしていく上では重要なこと。恩返しではないけど、そういう気持ちで選手たちに接していろんなものを勉強させていけたらいい」と充実感いっぱいの表情で話した。

 都市対抗出場とNPBに選手を輩出することを目標に先月に北九州市に発足した。伊東総監督は解説業をする傍ら、合間を縫って練習に駆けつけて指導している。2度のトライアウトで集まった選手はスポンサー企業で正社員として勤務しながら、終了後に野球に励む。職場は北九州市、福岡市などと選手によってバラバラで全員が集まる日は限られている。そんな苦しい状況の中でも「選手は少しずつ成長している」と実感。「みんな野球が好き。その気持ちは大事にしてあげたい」と長所を伸ばしていくつもりだ。

 先月に臨んだ初の公式戦の福岡県連盟会長杯で4強入りし、好スタートを切った。22日には社会人野球の2大大会の一つ、都市対抗野球福岡県1次予選初戦で過去20度の本大会出場を誇り、10年には準優勝した強豪のJR九州と対戦。仕事の関係やコンディション不良などで出場できない選手がいる中、ベンチ入りした名将の“采配”もあって9回に1点差まで迫るなど、4―5と大善戦した。

 「強い相手に対して、みんなで束になれば、そこそこのゲームができることを実証してくれたと思う。この気持ちを忘れずにやってほしい」と伊東総監督は手応えを語る。選手には試合後に「ああいう試合をどんどんやっていけば、もっともっとチームとして強くなる」と力強い言葉で鼓舞していた。

 まだまだチームは発展途上だが、その分、無限の伸びしろがある。「いっぱい勉強することはあるけれど、それを一つずつクリアして階段を上がっていければ」と都市対抗野球が行われる東京ドームで躍動する選手の姿や、ドラフト会議当日に高揚感に包まれるチームを思い描きながら、長年の経験を惜しみなく、注いでいく。(杉浦 友樹)

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