楽天・内、プロ初勝利 由伸“完コピ”高卒3年目=ロスジェネ世代がサヨナラ呼んだ

[ 2023年4月24日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天4-3日本ハム ( 2023年4月23日    楽天モバイル )

<楽・日>プロ初勝利の内(撮影・村上 大輔)
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 楽天の内星龍投手(21)が23日、日本ハム戦の延長11回に7番手で登板し、1回を無失点に抑えて念願のプロ初勝利をマークした。コロナ禍で春夏の甲子園大会が中止となった「ロスト・ジェネレーション世代」で、その高校時代にオリックスのエース・山本由伸投手(24)を完全コピーしたフォームで急成長。身長1メートル90の大きな体に無限の可能性を秘める右腕がチームの最下位転落の危機も救った。

 21歳の誕生日を前にした20歳のラストデーは、忘れられない記念日になった。内はサヨナラ打を放った辰己とともにウオーターシャワーの餌食に。プロ初勝利の記念球を受け取り「お父さんに渡したい」と目を輝かせた。

 今季3度目の登板機会は3―3の11回。過去2度はビハインドの場面で同点は初だった。「緊張が凄かった」と振り返るが、先頭・水野は149キロ直球で遊飛に抑え、続くマルティネスはスプリットを3球続け空振り三振。清水にはこの日最速の150キロ直球で中前打を浴びたが、最後は江越を空振り三振に斬った。1メートル90の長身から投げ下ろす思い切りの良い投球が、直後のサヨナラ劇を呼んだ。

 肩を痛めていた履正社2年秋に故障しない自分に合った投球フォームを模索。YouTubeで見た山本の投球動作をまねてみた。「これだ」。130キロ台前半だった球速は一気に148キロとなりプロ注目の存在に。1年目を終えた21年オフには知人のつてを頼って山本の自主トレに参加し、師弟関係となった。練習方法やフォームも全て“完コピ”。師匠は今季に向けて、左脚を大きく上げずにすり足のように踏み出すフォームに変更。もちろん内も倣った。

 3月のWBCでは大きな刺激をもらった。「由伸さんも凄かったけど同学年もいた。度胸がエグい」。同学年の選手とは中日・高橋宏。コロナ禍で春夏の甲子園大会が中止となった同じ「ロスジェネ世代」だ。そのWBCでの優勝から数日後の3月下旬、開幕1軍の報告を兼ね山本に「世界一おめでとうございます」とメッセージを送ると「おそない?笑(開幕1軍)おめでとう」と返事が届いた。

 目標がある。26年の第6回WBC出場だ。「由伸さんとジャパンで一緒にやりたい」。高校時代は公式戦2試合しか登板がなかった男が、プロで刻んだ最初の白星。でっかい夢への挑戦は、まだ始まったばかりだ。(重光 晋太郎)

 ◇内 星龍(うち・せいりゅう)2002年(平14)4月24日生まれ、大阪府出身の21歳。履正社では3年夏の公式戦で2試合に登板しただけだったが、甲子園合同練習会で最速147キロをマーク。秋のドラフトで楽天から6位指名を受けてプロ入りし、今季4月9日ロッテ戦でプロ初登板を果たした。父・文武さんは社会人のヤマハで外野手としてプレー。1メートル90、88キロ。右投げ左打ち。

 ▽プロ野球のロスジェネ世代 コロナ禍が始まった20年に高校の最終学年だった世代で、史上初めて春夏甲子園が中止となり、地方大会も各都道府県の独自大会として開催。選抜出場を決めていた中京大中京・高橋宏(中日)、中山(巨人)、明石商・中森(ロッテ)、星稜・内山(ヤクルト)、花咲徳栄・井上(ソフトバンク)らは8月に1試合限定で甲子園で開催された交流試合に出場し、最後の夏に甲子園の土を踏んだ。福岡大大濠・山下(オリックス)、二松学舎大付・秋広(巨人)らも同世代。

 ▼楽天・辰己(途中出場で延長11回1死一、二塁で右中間にサヨナラ二塁打)こういう展開になってサヨナラ打を打つと思っていた。内の初勝利が一番うれしい。

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