阪神・近本 初球の“吉兆アーチ” 先頭打者弾が1号の21年は最多安打 「今岡さんにそろそろ打てと」

[ 2023年4月24日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神1-2中日 ( 2023年4月23日    バンテリンD )

<中・神>初回、近本は先頭打者弾を放つ(撮影・椎名 航)
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 阪神・近本光司外野手(28)が23日の中日戦で「初回先頭打者本塁打」を放ち、ヤクルトとともに同率2位に後退した惜敗の中で存在感を示した。通算9本目で「初球」を仕留めたのは3本目。プロ5年目にして早くも今岡誠、真弓明信が持つ球団記録5本に迫ってきた。1号を初回先頭打者弾で飾るのは最多安打に輝いた21年以来3度目。“吉兆アーチ”で虎のリードオフマンがさらに勢いづきそうだ。

 球審のプレーボールの声からわずか10秒ほどで、白球は右翼席へと消えた。糸を引くように低く、空気を切り裂くように力強い。近本らしい本塁打は通算32本目にしてバンテリンドーム初アーチ。出はなをくじかれた福谷は両手を膝につき、うなだれるしかなかった。プロ5年目で9本目の初回先頭打者弾。「初球」を振り抜いたのは3本目で、今岡誠、真弓明信の球団記録の5本へと、また一歩近づいた。

 「初球からしっかりと捉えることができた。試合前から今岡さんに“ホームラン、そろそろ打て”って言われていたので。僕に言っているか、分からないですけど」

 現役時代に12本の先頭打者本塁打を誇った大先輩からの“指令”に1球で応えた快打。「気づいたら打ってました」とサラリと振り返った。1号まで83試合、368打席を要する“難産”だった昨季とは違う。18日の広島戦から22日の中日戦までの5試合で4本の三塁打を量産したことも予兆だったのか。19試合、84打席目での1号。8回にはきっちり四球を選び、3打数1安打で打率・329へと上昇させた。

 例年の課題スロースターターぶりがウソのように今季はロケットダッシュに成功した。「1号=初回先頭打者弾」は最多安打に輝いた21年以来という吉兆もある。まだ19試合を終えたばかりでも道は明るい。

 「彼(近本)はいつも(状態が)いいから。勝てればよかった」

 今岡打撃コーチも振り返るように勝利に結びつかなかったことが唯一の悔恨だろう。中日との3連戦を計4得点で負け越した一方、近本個人としては今季最長の6試合連続安打に伸ばし、同期間は計22打数10安打、打率・455の急上昇へ転じた。

 優勝を争うセ・リーグ5球団との対戦が一巡し、阪神の6本塁打は中日4本に次いで少ない。貴重なうちの1本を1番打者が打てるのが猛虎の強みだ。25日からは巨人を今季初めて本拠地・甲子園で迎え撃つ。G倒への突破口は、きっと近本が鮮やかに切り開いてくれる。(八木 勇磨)

≪近本過去4年の1号≫ ▽19年4月11日DeNA戦=35打席目 7回に代打で登場し、国吉の2球目を甲子園の右中間へ。12球団の新人一番乗りとなる1号に「積極的に打ちにいった結果。違う球場より甲子園球場が最初で良かった」
 ▽20年6月21日巨人戦=10打席目 開幕から2試合は2番で9打数無安打。打順が1番に上がり、サンチェスのカットボールを捉える初回先頭打者本塁打。「本塁打というよりは、(安打が)1本出てくれてうれしかった」
 ▽21年4月4日中日戦=36打席目 小笠原から初回先頭打者本塁打。前日3日は9回の好機に代打を送られていただけに「うれしいというよりも、ホッとする」
 ▽22年7月8日ヤクルト戦=368打席目 前日7日に連続試合安打が30でストップ。仕切り直しの出場83試合目で高梨から2ラン。「前までは記録のこともあった。やっと、3番らしくやろうと思っていた」

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