DeNA、難病「胸椎黄色じん帯骨化症」の三嶋が胸中激白

[ 2022年11月7日 15:00 ]

秋季トレーニングで体を動かすDeNA・三嶋(球団提供)
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 DeNAの三嶋一輝投手が7日、秋季トレーニング第2クール初日に横須賀市内の2軍練習施設「DOCK」で取材対応し、自身が患った難病「胸椎黄色じん帯骨化症」について激白した。

 球団から三嶋の手術が発表されたのは8月30日。「診断されたときはあまりパッと受け入れることができなかった」と言う。

 手術直前は歩行さえつらい状態で、その症状は1月中旬には発症していた。「ただ歩くのがしんどい。足も上げづらい。ストレッチしても筋肉に刺激を入れても何かおかしかった」と振り返る。

 それでも2月1日の春季キャンプには平静を装い臨んだ。「全然ダメでした。でも中継ぎ(救援)をやり始めて、誰かにチャンスを与えてはダメだと思っていて、競争しなきゃいけないし、やはり(ポジションを)渡したくないし、スキを見せちゃいけない」。これが守護神も務めた男のプライドだった。

 三浦監督が山崎康晃との「ダブルストッパー構想」を掲げる中、5月7日の広島戦の登板まで13試合に登板し2勝2敗1セーブ5ホールド。だが翌8日に右肩の張りで出場選手登録を抹消された。「僕、肩も肘も痛めたことがない。でも痛いなあ、と。左足も力が入らない。そして病院に行ったらこっち(背中)が左脚の原因というか。でもはっきり原因がわかるまで時間がかかった」と続けた。

 チームは山崎、エスコバー、伊勢、入江ら救援陣の奮投でシーズン後半戦は優勝争いまでに食い込んだ。「正直、このメンバーの中に今の自分が入っても絶対使い物にならない。それが7月までで、これは手術をした方がいいとなった」と思いを打ち明けた。

 それでも術後、2週間ほどで歩行が楽になったという。「速く動きたい思いがでてきた。術式も世界で初めての術式で、先生が本当にうまく手術してくれた。今はキャッチボール、ダッシュに取り組んで、50メートル走では5秒9も計測した。速いでしょ?」と笑顔を見せる。

 目標設定に焦りはない。「ゆっくりやっている。自分が思っている以上にゆっくり。三浦監督からは“この病気を克服してバリバリ1軍で活躍した人がいないんなら、その1人目になれ”と言われた。僕は今ポジションを手放している。僕はまた奪いにいかないといけない。過去は過去。また新しい自分をつくってマウンドに上がる」と意気込んだ。

 三嶋の復活をチーム、ナイン、ファン全員が待ち望む。だからこそ現在の慎重姿勢にこだわりはある。「抑えて、抑えて、我慢して」。
 来季は三浦政権3年目。25年ぶりの日本一を目指す戦いの準備は秋季トレーニングから始まっている。その中で黙々と練習を続ける三嶋。仲間からの信頼厚い32歳は、冷静に歩みを進めている。
 (大木 穂高)
 

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