アストロズ5年ぶり2度目V!73歳ベーカー監督 悲願“真”の世界一に

[ 2022年11月7日 02:30 ]

ワールドシリーズ第6戦   アストロズ4―1フィリーズ ( 2022年11月5日    ヒューストン )

ワールドシリーズを制し、歓喜のアストロズ・ベーカー監督(AP)
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 アストロズは5日(日本時間6日)、ワールドシリーズ第6戦でフィリーズを4―1で下して4勝2敗とし、17年以来5年ぶり2度目の優勝を果たした。ダスティ・ベーカー監督(73)は監督歴25年目での悲願の初制覇で、米国4大スポーツで最年長となる優勝監督に。打率・400、1本塁打、3打点と活躍したジェレミー・ペーニャ内野手(25)が、新人野手では史上初のMVPに選ばれた。

 ベーカー監督以上に、選手やコーチら周りの誰もがチャンピオンリングを老将に届けたいと願っていた。勝利の瞬間、ベンチで10人以上が「ダスティ!ダスティ!」と連呼しながら跳びはねた。監督25年目での悲願が、ついに現実となった。

 「それについては、何度も考えた。こだわりすぎないようにとも思ったが忍耐強く気骨があれば何が達成できるのか。若い人に見せ、いい影響を与えられるかもしれない」

 第6戦が「ずっと鬼門だった」。ジャイアンツを指揮し、現日本ハム・新庄監督が日本選手初のワールドシリーズ出場を果たした02年。3勝2敗で王手をかけて敵地で第6戦を迎え、5―0で7回1死までいった。頂点へあとアウト8個のところから、エンゼルスに6点奪われ逆転負けすると、第7戦も落とし敗退。昨年は第6戦に敗れブレーブスに屈した。今回は6回に先制を許したが、直後にアルバレスが逆転3ラン。ポストシーズン史上最高の防御率0・83をマークした強力ブルペン陣で逃げ切った。

 チームは17年の前回優勝後、サイン盗みが発覚して栄光は地に落ちた。「ひきょう者」と全米からののしられた中、再建を託された。孫ほど年の離れた選手と常勝チームを築き上げた。歴代9位の2093勝。2000勝以上の監督は12人いるが、ワールドシリーズ制覇の経験がないのはベーカー監督だけだった。外野手として現役だった81年、ドジャースでつかんだものに続く、2個目のリング。今年1月には最愛の母を失ったが、「この優勝をささげたい」。名将がチームを「本物」の優勝に導いた。(奥田 秀樹通信員)

 ◇ダスティ・ベーカー 1949年6月15日生まれ、米カリフォルニア州出身の73歳。右投げ右打ち。デル・カンポ高から67年ドラフト26巡目(全体504番目)でブレーブス入団。76年にドジャースへ移籍し、81年のワールドシリーズ優勝に貢献。86年の引退まで外野手として通算2039試合、1981安打、242本塁打、137盗塁。88年からジャイアンツでコーチに就任し、93年に監督就任。カブス、レッズ、ナショナルズ監督を歴任し、20年からアストロズ監督。監督通算2093勝は歴代9位。

 ≪アルバレスが逆転V3ラン≫アストロズの3番アルバレスの一振りが試合を決めた。1点先制を許した直後の6回。死球と安打で1死一、三塁とすると、相手ベンチが好投のウィーラーを下げ、アルバラドにスイッチ。代わった左腕から豪快に、中越えへ飛距離137メートルの逆転決勝3ランを運んだ。レギュラーシーズン37本塁打の大砲は10試合続けてアーチがなかったが、大事な場面でお目覚め。「この時を待っていた。球場全体が揺れているようだった」と興奮を隠さなかった。

 ▽ヒューストン・アストロズ 1962年、ナ・リーグの球団拡張に伴いコルト45’Sとして創設。65年から現球団名。80年にノーラン・ライアンを獲得し、初の地区優勝。05年にはロジャー・クレメンスらの活躍で初のリーグ優勝。13年にナ・リーグ中地区からア・リーグ西地区に編入され、17年に初のワールドシリーズ制覇。本拠は開閉式ドーム球場のミニッツメイド・パーク。過去に所属した日本選手は松井稼頭央(08~10年)と青木宣親(17年)がいる。

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2022年11月7日のニュース