亀山つとむ氏 阪神・岡田新監督に期待「優勝に導くための指導、采配ができる指揮官」

[ 2022年10月17日 07:00 ]

亀山つとむ氏

 第2次「岡田阪神」が16日、正式に発足した。現役時代にともにプレーし、前回の阪神監督時にもOB、評論家として身近に接してきた亀山つとむ氏(53)は改めて岡田監督を「勝負師」と表現。猛虎がV奪回へ必要とする最後のピースとして、優勝経験に裏付けられた指導と采配に期待を寄せた。

 何よりも求められるのは優勝。岡田監督の復帰の背景には、本気で頂点を狙うというトップ判断があったと思っている。

 今の阪神はリーグ有数の投手力を誇り、勝てるチームにはなっている。4年連続のAクラス。でも力があるのに、あと一歩及ばない形が続いていた。何が足りないのか。優勝経験を持つ監督で、それを埋める。優勝に導くための指導、采配を期待されての就任だと見ている。岡田監督はそれができる指揮官だ。

 今でも甲子園などでお会いすると、思わず背筋がピンと伸びてしまう。古い話になってしまうが、「代打事件」のことは忘れられない。92年4月25日、ナゴヤ球場での中日戦だった。岡田さんは調子が上がらず、7番でスタメン。私は軽い肉離れがあって、スタメンを外れていた。ベンチ裏で金森栄治さんと代打に備えて、素振りをしていた。

 5回だった。「カメ(亀山)、行くぞ」の声でグラウンドに向かった。8番か9番のところの代打かと思っていたら、背番号16が引き揚げてくる。まさかと思った。岡田さんに自分が代打。監督は中村勝広さん。「えらいことしてくれた」と正直思った。そこからは頭が真っ白だった。

 さすがに打席では集中できなかった。満塁のチャンスだったけど、あえなく遊ゴロ。その足で再びベンチ裏に直行して、岡田さんのところに走った。「しゃあない。ええよ。お前のせいちゃうから」という言葉が返ってきた。その夜は相当荒れていたという話は後で聞いた。

 代打を務めたことで、岡田さんが主力として、どれだけのものを背負ってきたかを感じた。1年を通して戦う体力、技術はもちろん、精神力、ハートの強さを持っていた。新庄剛志とともに段階を踏まずに、いきなりスポットライトを浴びた92年の優勝争いだったが、「代打」の一件があったからこそ、頑張れたシーズンだった。

 岡田監督は勝負師だ。決断は速く、迷いはない。独特の勝負勘があるし、ちゃんと計算もしている。常に勝つための最善手を選択する。選手はベンチの判断にしっかり反応するレスポンスが大事になってくる。15年ぶりの阪神復帰。選手との距離を埋めるためにも、コーチ陣が岡田野球をしっかり伝えていくことが重要になる。(スポニチ本紙評論家)

 ○…岡田監督は来季から指揮を執る広島の新井監督にも“宣戦布告”した。会見でネクタイが黄色である理由を問われると「これですか?黄色ですか?新井も赤いネクタイしてたから。黄色にしていかなあかんな、と思って。それだけです(笑い)」と笑顔で説明。先日の就任会見に赤のネクタイを着用して臨んだ新井監督を引き合いに出し、“火花”を散らした。今季、チームは9勝14敗2分けと負け越した相手。新井カープとの戦いからも、目が離せない。

 ○…岡田監督は08年以来15年ぶりの阪神監督復帰。複数期にわたる阪神監督は吉田監督(3期目)の98年以来25年ぶり9人目。復帰までの間にNPB他球団の監督があるのは岡田監督(10~12年=オリックス)だけ。

 ○…阪神は1リーグ時代に4度、セ・リーグで5度の計9度優勝しており、最新の05年は岡田監督が指揮。2度の優勝監督は藤本監督(62、64年)まで3人。2期にわたって優勝すれば若林監督(44、47年)以来2人目になる。

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