「監督代行経験して、また、いろんなことを学んだ」チームの土台を支えるオリックス水本ヘッド

[ 2022年9月9日 07:40 ]

8月27日の西武戦、水本監督代行にウイニングボールを手渡そうとする宮城(左)=撮影・岸 良祐
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 「あいつ、初完封なのにね、僕に記念のボールを渡そうとしてくれて。“いらないよっ、大事に取っておきなさい”って断ったけど、本当に感動したし、ありがたかったよね」

 8月27日の西武戦で、オリックスの監督代行として“指揮官1勝”を贈られた水本勝己ヘッドコーチの言葉。同戦で先発した宮城がプロ初完封で飾った。中嶋監督がコロナ離脱中の危機を中嶋チルドレンが救った形となったが、“孝行息子”の快投を信じていたのは監督だけではなく、水本ヘッドも、そうだった。

 ずっと気に掛けてきたから、余計に響いたはずだ。昨年末、水本ヘッドに尋ねたことがある。同年10月14日のロッテ戦で宮城が佐々木朗と初めて投げ合い、5失点KOされチームの自力優勝の可能性も消滅した危機を迎えた一戦について、だ。

 水本ヘッドは「本当に悔しいと思うけど、あいつにとって間違いなく成長の糧になる。やっぱり、佐々木朗希投手は凄い投手だけど、1年間しっかり投げ抜いてくれたのは、宮城の方だしね」。ブレーク翌年に陥る“2年目のジンクス”どころか、宮城はさらに飛躍する――。そう信じて疑わなかった。

 宮城は2年連続2桁10勝に到達。これは、球団左腕では星野伸之(87~97年)以来で、高卒2年目から2年連続2桁勝利は水谷孝(68年15勝、69年11勝)以来53年ぶり2人目の快挙だった。

 し烈な優勝争いは最終盤まで、もつれ込みそうな気配が漂う。中嶋監督が戦列復帰し、水本ヘッドは「監督代行を経験して、また、いろんなことを学んだよ。監督が、どういう思いで取り組んでいるか、そういった部分も少しは理解できたと思うし、しっかりと監督を支えていきたいね」と言った。広島2軍監督だった17年にウエスタン制覇、ファーム日本一も経験した。確かな育成手腕と“中嶋イズム”を知る男が、チームの土台を支える1人だ。
(記者コラム・湯澤 涼)

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2022年9月9日のニュース