広島・玉村の発言が深すぎる 「体が分かれた」「球がない」 飛躍の秘密は分析力にあり

[ 2022年9月9日 07:30 ]

8月26日の巨人戦に登板した広島・玉村(撮影・奥 調)
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 広島・玉村昇悟投手(21)は、自身の状態を言語化する能力に長けている。8月26日の巨人戦では、初回に3失点したあとの5イニングを無失点に抑えた。なぜ、修正できたのか――。「最初は体全体が一つの面として動いていたのが、体と腕が分かれて腕だけが単独で動いてくれるようになった。腕と体が少しずつ離れてくれた」。簡潔に言い換えれば、「腕を振れるようになった」ということだろうか。そのことをここまで具体的に説明できる選手はそういない。

 春先に調子が上がらなかった時期は、不振の原因を「リリースのときに球がない」と表現した。頭の中で思い描いているリリース時には、すでに球を手放している状態だったと言う。勢いのある球が投げられたとしても「なぜそうなったのか根拠がなかった」と満足せず、球が指にかかった理由を追い求めた。身体の細かい動きまで把握し、自身の投球フォームを論理的に分析できているからこそ、投球動作を具体的に説明できるのだ。

 春先の不振時は「いろいろとチャレンジしようと思い、普段しない練習をやっていた」と、やみくもに努力するのではなく、進むべき方向を理解していた。試合中の修正は「これまでの経験もあるし、コーチに教わったことを思い出しながらやっている」と若手とは思えないほどに引き出しが多い。調子の浮き沈みの原因を的確に把握できているかは、長いシーズンを乗り切る上で重要なポイント。今季に見舞われたコンディション不良や新型コロナ感染を乗り越えて安定感を取り戻せたのは、玉村特有の分析力によるところが大きいと見ている。
(記者コラム・河合 洋介)

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2022年9月9日のニュース