中日・福留 涙なき引退会見「必ず誰もが通る道」2軍で若手と過ごし、心が変わった

[ 2022年9月9日 04:45 ]

中日・福留孝介 引退会見 ( 2022年9月8日 )

<中日・福留引退会見>引退を表明し、思いを語る福留(撮影・椎名 航)
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 中日・福留孝介外野手(45)が8日、愛知県名古屋市のバンテリンドームで会見を開き、今季限りで現役を引退することを表明した。日米通算2450安打を放った現役最年長のレジェンドは笑顔で「いよいよ来たなという感じ」と心境を語り、今季2軍で汗を流した若手たちへ「もっともっと」と熱いメッセージを送った。今季本拠地での最終カードとなる23日からの巨人3連戦中に引退セレモニーが行われる。

 涙はなかった。会見前にサプライズで大島、大野雄、京田らチームメートから花束を贈られ笑顔を見せた福留は、すっきりとした表情で「引退」の二文字を口にした。

 「必ず誰もが通る道。いずれ自分にも来ると分かっていた。いよいよ来たなと。気持ちの面が一番大きい」

 PL学園の先輩である立浪監督の下で迎えた今季は、3月25日の開幕・巨人戦に「3番・左翼」でセ・リーグ野手最年長の先発出場を果たしたが、開幕から25打席無安打が続くなど22試合で23打数1安打の打率・043と不振。交流戦終了後に2軍での再調整が決まった。1軍復帰を目指し息子のような若手と汗を流すうちに、気持ちに変化が表れた。

 「見守ると言ったら偉そうだが、応援する気持ちが強くなった。そこが強くなってきたのは、潮時かなと」

 PL学園では世代No・1打者として甲子園を沸かせ、中日では3度のリーグ優勝に貢献した。02年には打率・343で初の首位打者を獲得し、この年2冠王で同・334の松井秀喜(巨人)の三冠王を阻んだ。06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では準決勝の韓国戦で代打決勝2ランを放ち世界一に貢献するなど、ここぞでの勝負強さは際だった。

 カブスなど大リーグで5シーズンプレーし、オールスター戦にも選出。日米通算ながら520二塁打は、憧れた立浪監督の持つ487二塁打のプロ野球記録を上回る。「最初のヒットが二塁打。日米通算だが、超えられたのは自分の誇り」と胸を張った。ゴールデングラブ賞も5度。常に挑戦し続けてきたからこそ「やり残したことは思いつかない。これだけ好きな野球をやらせていただき本当に楽しかった」と言い切った。

 きょう9日からは1軍に同行して調整を続ける。23日からの巨人3連戦中には引退試合などのセレモニーが予定される。下半身に故障を抱え万全ではないが「何とか治して、最後に元気な姿を見せられたら」と全力プレーを誓った。 (中澤 智晴)

 ◇福留 孝介(ふくどめ・こうすけ)1977年(昭52)4月26日生まれ、鹿児島県出身の45歳。PL学園3年の95年ドラフトで7球団から1位指名を受けたが、交渉権を得た近鉄を拒否し日本生命へ。98年ドラフト1位で中日入団。02年に首位打者、06年はMVPと2度目の首位打者に輝いた。07年オフ、FAでカブス移籍。13年、阪神で6年ぶりに日本球界に復帰。21年、古巣の中日に14年ぶりの復帰。最高出塁率3度、ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞5度受賞。1メートル82、90キロ。右投げ左打ち。

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