エンゼルス・大谷 2発でイチローに並ぶ米通算117号 チームはまさかのソロ7発で敗戦

[ 2022年8月6日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス7ー8アスレチックス ( 2022年8月4日    アナハイム )

<エンゼルス・アスレチックス>初回、先制ソロを放った大谷はベンチでナインとタッチをかわす(撮影・大森  寛明)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(28)が4日(日本時間5日)、アスレチックス戦で今季5度目の1試合2発となる23、24号ソロを放った。メジャー通算117号とし、日本勢では松井秀喜(元ヤンキース)の175本に次ぎ、イチロー(元マリナーズ)と並ぶ2位となった。投打同時出場した3日のア軍戦では右前腕がつった影響で代打を送られたが、一夜明けてイチローばりの鉄人ぶりを発揮した。

 大谷はほとんど表情を変えず、ゆっくりダイヤモンドを回った。2本ともそうだった。

 まずは初回1死、右腕ブラックバーンの94マイル(約151キロ)直球を捉え、左中間席へ23号先制ソロ。7回2死では左腕スニードに対し、オープンスタンス気味に構えて内角ボール気味のスライダーをすくい上げ、24号ソロを右翼席に運んだ。

 投打で出場した前夜は7回の打席の準備中に右腕がつり、代打を出された。影響が懸念されたナイター明けのデーゲーム。出場を志願し、2発を含む3安打で応えた。フィル・ネビン監督代行からは「翔平の右腕の状態には十分注意していたが、今日(の打撃)は明らかに良かった」と感嘆が漏れた。今季5度目、通算11度目の1試合2本塁打で、メジャー通算117本塁打に到達。イチローに並ぶ日本勢2位となった。

 大谷にとってイチローは憧れの存在だ。メジャー1年目の18年には打撃の調子が上がらなかったアリゾナ春季キャンプ中、バット1本を手に当時現役の大先輩の自宅を訪れて助言を受けた。MVPに輝いた昨季終了後には、「無理はできる間にしかできない。21年シーズンを機に無理をしながら翔平にしか描けない時代を築いていってほしい」というエールも届いた。大谷は「無理は“ケガをする間際まで”という意味ではないと思う。自分の能力を伸ばせる時間は多くはないので、時間を大事にしながらやりたい」と受け止めた。イチロー流を体現する不屈の2発だった。

 右太腿の内側には、今も直径20センチほどのアザが残る。7月25日のロイヤルズ戦で自打球を当て、数日前まで青紫色だったが、黒色に変色。クラブハウス内では、まだ足を引きずっている。だからダイヤモンドもゆっくり回った。まだ28歳だが、もう28歳。ギリギリの「無理」をして出場を続けることが進化につながると信じる。

 米3089安打のイチローが19年間で積み上げた数字に5年目で到達した。大谷の本塁打率(本塁打1本当たりの打数)は15・2。メジャー10年間で日本勢トップの175本塁打を放った松井も117号は7年目で、ゴジラの本塁打率25・3も大きく上回っている。

 チームはメジャータイの1試合7ソロ本塁打を放ちながら敗れ、試合後は翌日のマリナーズ4連戦に備えてシアトルへ移動。尊敬する背番号51が愛し、愛された地で、大谷が一気に「イチ超え」を狙う。(柳原 直之)

 ≪近代野球史上初≫エンゼルスは大谷の2本のソロ本塁打の他に、スズキ、ウォード、アデル、ウォルシュ、モニアクがソロ本塁打。1試合ソロ本塁打7本は大リーグタイ記録、ソロ7発以外得点なしは1900年以降の近代野球で史上初の珍事だった。1点差で競り負け、7本塁打を放ちながらの敗戦は球団史上初で大リーグ史上6度目。ネビン監督代行は「ソロ本塁打でも7本も打てば勝てるような気がするが、うまくいかなかった」と話した。チームは今季ワーストの借金17。ウォルシュは「7本塁打も放ったことはポジティブな兆候だ」と前を向いた。

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