大谷に史上最高年俸60億円用意もエンゼルスが契約延長に二の足を踏むワケとは?

[ 2022年6月16日 02:30 ]

14日のドジャース戦初回、打席に向かう準備をする大谷(撮影・篠原岳夫)
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 来オフにFAとなるエンゼルス・大谷翔平投手(27)について、今季開幕前に球団とネズ・バレロ代理人(59)が契約延長に関する話し合いを行ったと、米スポーツサイト「ジ・アスレチック」が14日(日本時間15日)に報じた。史上最高額となる年俸60億円規模の巨額契約を想定しながらも、先行きは不透明。契約延長には3つのハードルが立ちはだかっている。

 開幕を2週間後に控えた3月25日、バレロ代理人はエンゼルスのキャンプ地、アリゾナ州テンピを訪問。両リーグでのDH制導入について「翔平にも球団にも大きなアドバンテージ」と歓迎していた。大谷の契約延長交渉に関しては語らなかったが、話し合いが持たれたのは、おそらくこの時期だろう。

 「ジ・アスレチック」の看板記者ケン・ローゼンタール氏によれば、エ軍は大谷を引き留めるための平均年俸をメッツの右腕シャーザーの年俸4333万ドル(約58億5000万円)を上回る「球界史上最高額」と想定している。しかし、オファーには至っておらず、契約に向けて「複雑な方程式」が横たわっているという。理由は主に3つが考えられる。

 (1)金銭的負担 大谷が来季以降、平均年俸4500万ドル(約61億円)で長期契約を結ぶと仮定する。30年までのトラウトの年俸3545万ドル(約48億円)、26年までのレンドンの同3800万ドル(約51億円)を考えると、23~26年の3人の合計年俸は1億1845万ドル(約160億円)。今季のチーム総年俸は30球団中8位、過去最高の1億8860万ドル(約255億円)で、その3分の2に迫る。アート・モレノ・オーナーは開幕前の労使交渉で年俸総額(ぜいたく税課税の基準額)の増額に反対。ぜいたく税の支払いは04年の一度しかない。

 (2)長期契約のリスク エ軍は過去に31歳のプホルス(現カージナルス)を10年総額2億4000万ドル(約324億円)で獲得し、30歳で4年総額8850万ドル(約119億5000万円)の契約を残すアップトン(現マリナーズ)をトレードで迎え入れた。しかし、いずれも十分に機能したとは言い難く、同じく30代で現有戦力のレンドンやトラウトも故障がちだ。

 (3)チーム解体も視野 もし、プレーオフ進出を諦めて大谷、トラウトらをトレードで放出すれば、多くの若手有望株を期待できる。チームを解体しての再建は近年のトレンド。大谷は昨季終盤、「もっとヒリヒリする9月を過ごしたい」とプレーオフ争いへの渇望を口にした。

 ローゼンタール記者は「今季もプレーオフに出られなければ、エ軍も大谷も再契約への意欲が減少するかもしれない」と伝えた。今季の大谷の経済効果は約252億円と見積もられ、多くはエ軍の懐に入る試算。しかし、球団が、そして大谷が、長い蜜月を望むかどうかは、今後の戦いにも左右されそうだ。

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