「次の監督が気になる」 紛糾の株主総会…阪神・谷本取締役「矢野監督に集中させてあげてほしい」

[ 2022年6月16日 05:15 ]

<阪急阪神ホールディングス定時株主総会>会場に向かう株主(撮影・後藤 正志)
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 阪神球団を傘下に持つ阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会が15日、大阪市内で開かれ、516人が出席した。タイガース関連の質問がなかった昨年から一転、質疑応答で発言した9人中4人が関連質問をぶつけた。矢野監督の退任発表を止めなかった球団の姿勢を厳しく問い、後任監督が気になると切実に訴えた。

 矢野監督が春季キャンプ前日にした「今季限りでの退任表明」は、野球ファンの間で賛否を巻き起こした。阪急阪神HDの株主総会に出席したある男性株主は、腹に据えかねていた一人だった。質疑応答の場で、強い口調でこう訴えた。

 「あんな自分勝手な人はいない。球団はなぜ止めなかったのか」

 さらに続けた。

 「次の監督が気になって今年の野球はどうでもいい」

 球団の谷本修取締役オーナー代行者が回答し、「17年ぶり優勝というプロジェクトを、22年に完結したいという矢野監督の熱い思いを受け止めた」と、発言を容認した背景を説明。首位ヤクルトに12.5差をつけられた4位ながら、「ペナント奪回を誰一人として諦めていません」と語り、今後も全面的にバックアップしていくことを約束した。

 昨年は2位に7ゲーム差をつけていたためか、タイガース関連の質問が一つもなかったが、開幕9連敗を喫して歴史的な出遅れをした今年は、例年並みに関心が高かった。質問者9人中4人が阪神関連の意見や疑問をぶつけた。「FAや外国選手頼みの補強をするな」という声もあった。事業が多岐にわたる巨大企業グループの中でも、存在感が大きいことを物語っていた。

 終了後、谷本氏が取材に応じた。総会では触れなかった次期監督について、「矢野監督の最終年の戦いに集中させてあげてほしい」と言及を避けた。

 一方で、6月に入ってから11試合連続でクリーンアップを組む近本、佐藤輝、大山がドラフト1位であることに触れ、「(外国選手に頼っていては)骨太のチームにならない。そこは継承したいと思っている」と語り、次の監督にも育成、生え抜き重視を求める考えを示した。

 株主総会での意見の数々は、球団への愛情の裏返し。ファンが納得する成績と内容が、一番の配当になる。(倉世古 洋平)

 【近年の株主総会】
 ★17年 オレンジ色が入った阪神電車の車両に「名前も言いたくない、あの球団(巨人)の色を変えることはできないか」の珍要求。
 ★18年 17人中7人が球団関連の質問の過熱ぶりに、他の株主から「阪神ファンだけ集めて別でやってください」の要望。
 ★19年 近年のドラフト戦略に「2位、3位の上位指名が下手。なぜ前評判の高い即戦力を獲らないのか」の苦言。
 ★20年 「(新型コロナに感染した)藤浪くんは悪くないが、周りがチヤホヤしすぎ。虎風荘に入れておけば良かった」と育成方針を疑問視。
 ★21年 2位巨人に7ゲーム差独走で、球団関連の質問なしの珍事。関係者も「あまり記憶にないですね」。

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2022年6月16日のニュース