オリックス・T―岡田の負けられない理由 浮沈の鍵握るチームの顔

[ 2022年6月16日 08:00 ]

オリックスのT-岡田
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 オリックス・T―岡田には、負けられない理由がある。4歳になった長男、そして、3月下旬に誕生した第2子の存在だ。

 「かわいいですよね。癒やされますし、“やらなアカンな”っていう気持ちにもさせてくれますし、かっこいいパパでいたいなって、思いますね」

 15年に結婚した彩夫人との間に、2度も授かった人生の宝物。開幕前に右足痛で離脱し、復帰戦となった5月29日の中日戦で今季初登録されると、いきなり1号ソロを含む2安打3打点。観戦に訪れていた長男に勇姿と勝利を届けた。愛息からの「パパ、がんばっていたねえ!」の言葉は、最高の贈り物だ。

 「苦しんでいる姿はね(見せたくない)。どんな状況でも前を向いて、強い姿を見せられたらと思います」

 父親の自覚と覚悟、また、言葉の端々から人格者ぶりが、にじみ出る。その姿はナインにも響いている。昨年末のこと。寒風吹きすさぶ大阪・舞洲にT―岡田は毎日のように通った。昨季25年ぶりのリーグ優勝を果たし、ヤクルトとの日本シリーズまで戦い抜いた。間違いなく例年以上の蓄積疲労を抱えている中で、「毎年キャリアハイを目指すのは当然ですからね」と、黙々と体を動かし続けた。

 チームメートの安達とともに88年早生まれで、生え抜き野手最年長。10年に33発で本塁打王を獲得。14年には勝率2厘差の悔しい2位も経験した。美しい放物線を描く高度な打撃技術は不変で、リーグ優勝した昨季は勝負強さも発揮した。

 オリックスの投打の柱は吉田正尚と山本由伸だが、「チームの顔は?」と問われれば、T―岡田と答えるファンは多いだろう。“交流戦連覇”を逃し5連敗中と苦境が続くが、まだ前半戦。オリックスの浮沈は、T―岡田の打棒に懸かっている。
(記者コラム・湯澤 涼)

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