MLB労使交渉ドタバタ…開幕再延期発表 国際ドラフト導入巡り再び対立

[ 2022年3月11日 02:30 ]

エンゼルスの大谷翔平
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 大リーグ機構(MLB)は9日(日本時間10日)、選手会とニューヨークで行った新労使協定の交渉で合意に至らず、開幕がさらに1週間遅れ、4月14日(同15日)に再延期すると発表した。金銭面で合意に近づいていたが国際ドラフト導入の是非で再び対立。急きょ行われることになった10日(同11日)の再交渉で合意すれば再延期が撤回される可能性もあるが、着地点が見えない状況だ。

 当初の31日(同4月1日)の開幕延期と最初の2カード(5~7試合)の中止に加え、2カードの中止までも発表された。MLBのロブ・マンフレッド・コミッショナーは「162試合制を維持するため橋渡しをする提案をしたが合意できなかった」と声明を出した。

 主要争点の年俸総額(ぜいたく税課税の基準額)は選手会が今年の規定額で2億3200万ドル(約269億1000万円)に譲歩。最低年俸でも歩み寄り合意は近かった。だがMLBの「国際ドラフト」の導入要求に選手会が猛反発。期限の9日午後6時(日本時間10日午前8時)までに返答できずMLBは開幕再延期を発表した。設定された期限は過ぎたが、すみやかに対案を提示した選手会は即座に延期を発表したMLBに「さらなる試合の中止は必要なかった」と訴えるなど混乱ぶりが目立った。

 発表は開幕4カードの中止となったが、年間登録日数の減少は14日で1年分のFA権利取得に必要な年間登録日数172日はギリギリで維持。1日ズレて15日(同16日)開幕となればエンゼルス・大谷のFA権取得が1年遅れ、24年オフになるなど多くの選手に影響が出てくる。そもそも15日は1947年に初の黒人選手としてデビューしたロビンソンの功績を称える「ジャッキー・ロビンソン・デー」。これ以上の中止は避けたいところだ。

 双方は10日(同11日)も再交渉予定。関係者によれば162試合制は完全消滅したわけではなく、MLBはダブルヘッダーなどでの試合消化に意欲を示しているという。ファンが置き去りとなったままの交渉劇は、どんな結末となるのか…。

 《タティス「破滅させてしまう」》ドミニカ共和国出身の選手、OBも国際ドラフト導入に反応した。パドレスのスター遊撃手のタティスはスペイン語メディアに「国際ドラフトはドミニカ共和国の野球を破滅させてしまう」と反発。レッドソックスなどで通算541本塁打を記録し、1月に米国野球殿堂入りを果たしたデービッド・オルティス氏はスポーツ専門局ESPNの取材に「(導入するなら)もっと時間をかけて取り組むべき」と慎重だった。

 ▽国際ドラフト 米国、カナダ、米自治領プエルトリコ以外の選手が対象。これまで各球団が国際FAとして獲得していた選手をドラフトで指名する新制度でMLBでは10年以上前から議論されている。大リーグ公式サイトによれば計600人以上が指名されるシステムで指名順位ごとに契約金が定められる。16歳未満の選手を獲得することは不可。中南米出身選手の獲得制度の透明化が目的だが、将来的に日本、韓国などアジア出身選手の獲得に影響する可能性もある。

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2022年3月11日のニュース