目上の人にはサングラス外す…型破りでも礼儀は忘れなかった日本ハム・新庄ビッグボス

[ 2022年3月1日 05:30 ]

練習中、BIGBOSSステージに登りファンに手を振る新庄監督(撮影・西川 祐介)
Photo By スポニチ

 プロ野球12球団は、28日までに全チームがキャンプを打ち上げた。北京冬季五輪での日本勢のメダルラッシュの勢いに押されながらも、誰よりも話題を振りまいたのが日本ハムの新庄剛志監督(50)。単なる新監督としてだけではなく、球界の常識を打ち破る指揮官として躍動し続けた。そんなビッグボスの紙面にしきれなかった裏側を、スポニチ取材班が語り尽くした。

 デスク後藤 キャンプ初日からここまで、今年のプロ野球を引っ張ったのは間違いなく新庄ビッグボスだった。

 カメラマン沢田 キャンプ前日の花火大会には驚いたよ。当日は代表撮影役になり、間近で撮影することに。開始前に「途中で声掛けるので、ポーズを」とお願い。「いつでもいいよ」と言われたものの、終了後に涙ぐんでいたように、監督が予想以上に花火に見入ってしまいサインが届かなかった。

 日本ハム担当東尾 何事にも熱く、そして純粋な心で接していますよね。

 沢田 花火は15分間だったが、10分ほど声を掛けられず。気付いてくれた後は、もう花火が少なくて絵にならず、やばいと。フィナーレの花火が上がった直後、思い出したかのように私の方に振り返りポーズを決めてくれた。これが各社への配布写真に。指先から花火が上がる感じのいい一枚になり、監督の気遣いに助けられた。

 後藤 現場に手伝いで行った4日の間に、表敬訪問で訪れた名護市の渡具知武豊市長も「ありえない話で感謝しかない」とビッグボス提供花火大会に感謝していた。観光が基幹産業の地元への愛や思いを感じたし、伝わっていた。

 日本ハム担当清藤 僕は初日の豪華三輪バイクでの登場に度肝を抜かれました。

 沢田 練習後に、海を背に疾走する写真を撮ろうと一足先に出てロケハン。こちらを見つけると、かなり手前からビッグボスポーズを決めて笑顔で通過していった。この日、サングラス、マスクなしの素顔が撮れたのはこの時だけ。凄くこっち(メディア)を向いてくれる人。長嶋茂雄さんや原監督、松井秀喜さんに近いものを感じた。

 東尾 監督は植木職人のお父さんに厳しく育てられたエピソードをよく口にします。他人への感謝、礼儀と、努力することを大切にする。サングラスで型破りなイメージがあるが、目上の人が来ると必ず外して丁寧にあいさつしていました。

 後藤 実戦での起用法や1、2軍の往復視察には、選手への気配りも感じるよね。

 東尾 対外試合初戦だった8日の阪神戦のスタメンは、現役時代は陰で努力を続けてきただけに、毎日夜間練習していた選手をスタメンに選んだ。知人や子供たちと写真を撮る際は、膝を曲げてかがみ、目線の高さを同じにしていた。取材では報道陣一人一人を見渡して感情豊かに語りかけるので、話にぐっと引き込む話術がありますね。

 後藤 稲葉篤紀GMは「監督の力は凄い。チームは変わったと思う。選手たちの表情も空気も全く違う」と驚いていた。今は全員にチャンスがある。

 清藤 練習では守備と走塁を重視。安打なしでも1点を奪い、守り勝つ野球が目指すスタイルです。練習試合は2死からの外野フライでも、タッチアップを想定した本気の中継返球を求めた。この練習には他球団の首脳陣も驚きながら、認めていましたね。何より選手たちの声が出ていた。まるで高校球児たちのように活気がありました。

 東尾 グラウンドキーパーの方や、ビッグボスステージの作製に関わった業者さんら、裏方さんには必ず感謝の気持ちを伝えていますね。また多くの臨時コーチを招きましたが、印象深いのは皆さんと楽しそうに、延々と野球談議する姿です。野球が好きだし、チームを強くしたい思いは凄く伝わってきます。

 後藤 開幕スタメンも、開幕ローテーションも、現状で全く想像つかないのもこのチームだけ。どんな手を使ってファンや我々を楽しませてくれるのか。ここからはビッグボスに間近で触れてきた選手たちの、プレーのパフォーマンスに期待したいね。

 ≪救われたランチの差し入れ≫新庄監督はキャンプ初日から27日まで、休日や敵地で試合の日を除いて報道陣に「ビッグボスランチ」を振る舞い続けた。新型コロナ感染防止へ多くのメディアは外食も自粛せざるを得ない状況。真っ赤なキッチンカーが名護や2軍キャンプ地の国頭に登場し、記者たちの胃袋を楽しませてくれた。「コンビニ食とスーパーの総菜に気がめいり、ビッグボスランチだけが心の支えでした」と清藤記者。12日には一足早いバレンタインデーチョコとして、全国で人気沸騰中の「ケンズカフェ東京」の特製ガトーショコラも手渡された。ぜーんぶ、おいしくいただきました。ごちそうさまでした。(取材班一同)

続きを表示

2022年3月1日のニュース