【新井さんが行く!】DeNAに変化の兆し 石井コーチの“教え”浸透で得点力UP間違いなし

[ 2022年3月1日 05:30 ]

森(左)に打撃指導する石井コーチ(撮影・島崎忠彦)
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 キャンプ地を回った今春。DeNAにも変化の兆しがあった。生で見たのは広島との練習試合。打者が簡単にアウトにならない。追い込まれても粘り、ヒットにできなくても、少しでも意味のあるアウトにしよう…という姿勢が伝わってきた。復帰した石井琢朗さんの“教え”が着実に浸透している。

 もともと力のある打者が多く、打ち出したら止まらない。リーグでも屈指の破壊力を持っているのに、勢いが止まって点が入らなくなることもある。打率や本塁打の割に得点が上がっていない印象があった。そこに琢朗さんの「ノーヒットでも1点を取れる」野球が加わる。間違いなく得点力は上がると思う。

 広島が3連覇した16~18年の打撃コーチ。教わったのは、少しでもプレッシャーを与えるにはどうすればいいか。無死だけでなく、1死二塁でも追い込まれた後に進塁打を打てば、戻ったベンチでは手を叩いて出迎え、チームが盛り上がる雰囲気をつくってくれた。たとえ2死でも走者が三塁へ進めば、守る側はミスができない。好投手に対しても、打てません…で終わるのではなく、1球でも多く投げさせることがボディーブローになり、失投を呼び込める。細かく意識付けされた。

 大事なのは打率ではなく出塁率。局面によっては安打よりも四球の方が相手にダメージを与える場合がある。特に当時1~3番だったタナ(田中広)・キク(菊池涼)・マル(丸)への指導は徹底していた。昨季3割を打った桑原が同じように出塁率を上げれば、相手から見て本当に嫌な1番打者になると思う。

 コーチを務めるのは広島、ヤクルト、巨人に続いて4球団目。指導経験が豊富で、引き出しが多い。しかも今回は「野手総合コーチ」の立場。打撃だけでなく、走塁も含めて攻撃全体を引っ張っていくことになる。ドラフト6位・梶原(神奈川大)ら期待の新戦力もいる中、琢朗さんが一番の“補強”だと思う。

 セ・リーグは本当に混戦で、どこが勝ってもおかしくない。DeNAは琢朗さん以外に、鈴木尚典さんらも復帰。前回優勝した98年の主力メンバーだ。ファンにとってアツい一年になりそうだ。

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2022年3月1日のニュース