西武「獅子おどし打線」復活へ新兵器 ケガ防止「ロデオ型機器」、個性伸ばす4種の「珍バット」

[ 2022年2月22日 05:30 ]

<西武・南郷キャンプ>乗馬型運動機器を使う中村(撮影・尾崎 有希)
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 昨季は42年ぶりの最下位と低迷した西武は、20日に打ち上げた宮崎・南郷キャンプで、多くの新たな練習を取り入れた。大きな目的は故障防止と、自慢の打撃のさらなる強化。巻き返しに懸けるチームの取り組みに迫った。(神田 佑)

 キャンプ中、乗馬フィットネス機器「ロデオマシン」型の機器がグラウンドに設置されていた。打者がティー打撃の前に乗り、腰を前後左右に動かす。その後バットを手に打撃練習へ。かつて見たことのない光景だった。

 導入した背景に「絶対に長期離脱者を出さない」という「故障防止」の強い意図を感じた。昨季は開幕直後から栗山、山川、外崎、若林ら負傷離脱者が続出し、低迷の要因となった。山川は「脇腹の柔軟運動。ケガ予防のためです」と語り、渡部は「打席に入る前の脇腹、腰のストレッチです」と説明する。

 椅子はロデオマシンに似た縦長。乗馬のように前後に大きく動き、回転椅子のようにグルグル回る。トレーナーの指導の下、脇腹、腰回りをほぐすストレッチ目的で組み込んだ。体重100キロを超える山川、渡部の両大砲。脇腹を強く回して軸回転で打つため、腰回りの負担は大きい。

 野手に限らず投手も、脇腹の故障は長期離脱に直結する。今キャンプで投手陣は午前7時半に宿舎を出発。気温が低い中で、同機器を使用して体をほぐしてからウオーミングアップを開始した。豊田投手コーチは「全体で言えば、ケガ人もなく順調にきた」と振り返った。

 昨季は離脱者の影響もあり打線も低調だった。リーグ連覇した18、19年はチーム打率トップで本塁打は2位。一方、21年はチーム打率・239、112本塁打はいずれもリーグ4位だった。強力打線復活に向けた試みとして目立つのは4種類の変わり種バットだ。発案者は新任の平石打撃コーチ。辻監督が「向上心を持って積極的に試すのは良いこと」と導入へ背中を押した。

 「インパクトスイングバット」は重りが根元から上方に移動し、インパクト時に「カチッ」と鳴る。選手は「カチカチバット」と呼び、球を捉えるポイントを確認した。「バレルバット」はグリップ真上に円柱の重い膨らみがある。バット先端の重さに頼らないスイングを身に付ける。

 選手間で最も好評だったのが「シークエンスバット」。手首を「こねる」のを防ぐ目的で持ち手が2カ所ある。グリップ部分が軽く曲がる「素振り用」もあり、バットのしなる感覚を養った。ブランドンは「ボールの軌道に長くバットを乗せるような感覚を身につける」と感想を語る。

 平石コーチは「感覚的な部分と、実際の体やバットの使い方は、全く別のものであることが多かった」と導入の経緯を説明。ただ、首脳陣が使用を強いることはなかった。選手は一人一人、能力も感覚も違う。練習場に並べられた各種の「珍バット」から、個々の選択肢を広げようという方針が伝わってきた。

 ≪今井は「巻き付き棒」トレ≫チームは22日に今春初の対外試合となるソフトバンクとの練習試合(アイビー)を行い、今井が先発する。先発三本柱の右腕は今キャンプで特殊な道具を活用。柔らかくしなる「巻き付き棒」をシャドーピッチングで使用し、腕をムチのように使う投球フォームづくりに励んだ。「自分の体を効率よく使って、無駄なく力を伝えるため」と説明。オリックス・山本らが行う「やり投げトレ(ジャベリックスロー)」も実践した。

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