コロナ禍で出場辞退の危機も乗り越えた和歌山大 「国立の星」にあこがれ、入学した4年生バッテリー

[ 2021年5月20日 15:22 ]

近畿学生野球リーグ・全日本大学野球選手権代表決定戦・決勝   和歌山大7―4阪南大 ( 2021年5月20日    大阪シティ信金スタジアム )

全日本選手権出場を決め、抱き合う和歌山大・瀬古-安田のバッテリー(手前)とベンチを飛び出す選手たち
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 最後の打者を三振にとった和歌山大のエース、瀬古創真(4年・水口東)は主将の捕手、安田圭吾(4年・駒大苫小牧)と抱き合った。ベンチを飛び出したナインにもまれ、歓喜にひたった。

 「辛かった」と瀬古は言った。19日の神戸大戦でも終盤3回を零封。連投となったこの日は試合当初から雨の降るなか、149球を投げきっての完投だった。

 6―3と3点リードの7回表には四死球で1死一、二塁で4番打者に2ボール。ベンチから大原弘監督(55)がマウンドにやって来た。

 「雨、気になるか?」
 「いえ」
 「そうか。よっしゃ」

 と、それだけの会話だった。大原監督は「瀬古に任せたと腹をくくっていた」、瀬古も「交代なんて全然思わなかった。監督の考えていることはすべて分かりますので」と信頼で結ばれていた。

 このピンチを無失点で切り抜け、最後まで投げきった。瀬古は「全国大会なんて初めてですから、うれしくて……。これまで辛い思いをしてきましたから」と話した。

 悲願の全日本大学野球選手権への切符だった。和歌山大にとっては初出場だった2017年以来4年ぶり2度目の出場だ。今の4年生は当時、高校3年。神宮でベスト8に進出した姿を見て、進学先に選んだのだった。

 瀬古は「国立で野球も立派にやっている。練習会に参加して“ここでやろう”と決めた」と一般入試を突破しての入学だった。だが、先発するようになった2年生から、リーグ戦は3季連続2位。ともに悩んだ同期の捕手、安田と「もう2位はいらない」と決意して迎えた最終学年だった。

 今春のリーグ戦。7勝1敗、21ポイントで首位に立っていたが、新型コロナウイルス感染拡大で4月28日から中断となった。緊急事態宣言も出たため、大学はリモートによる遠隔授業に切り替え、校内への立ち入りや部活動も禁止となった。

 公園でのキャッチボールや球場を借りて、少人数交代制で練習して過ごした。リーグ戦は再開メドが立たず、連盟は1枠ある全日本選手権の代表校を決めるため、上位4校によるトーナメント開催を決めた。

 それでも大学内には感染やまん延を危ぶみ、参加を見合わせる出場辞退の声が強かった。この代表決定戦参加が決まったのも本番2日前の17日だった。

 大原監督は「多くの方々が苦労してくださって野球ができる。その喜びの前に感謝がある」と話した。チームとして「感謝と喜びを力に換えて」がスローガンとなり、ベンチ内に掲げていた。

 選手の自主性を重んじ、可能性を広げるノーサイン野球を貫く。バントや盗塁、ヒットエンドラン、そしてスクイズまで選手たちが考えて作戦を遂行する。

 「4年前は国立大だから注目された。それはそれで全国の国公立大野球部のためになるのであればありがたい。今回は前回を超えることが目標となる」

 大原監督は4年前、学生野球の聖地、神宮で「独特の空気感」を味わった。「あの雰囲気を学生たちとともに味わい、存分に自分たちの野球をやりたい」。再び旋風を巻き起こそうとしていた。(内田 雅也) 

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