広島・中村奨が救世主!坂倉代役、初の捕手出場で初V打!10得点爆勝導いた

[ 2021年5月20日 05:30 ]

セ・リーグ   広島10-2巨人 ( 2021年5月19日    東京D )

<巨・広(11)>お立ち台で笑顔を見せる中村奨(撮影・森沢裕)
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 広島・中村奨成捕手(21)が19日の巨人戦で10―2の大勝に貢献した。先発マスクをかぶり、4年目で初の捕手出場。同点の6回無死満塁から初適時打を左前へ打ち返し、初打点を挙げた。初の決勝打に加え、守っても九里亜蓮投手(29)を完投5勝目に導いた。コロナ禍での緊急昇格から2日目。坂倉も余波でベンチを外れた窮地で、首脳陣の抜てきに攻守で応えた。

 中村奨は満面の笑みで両手を突き上げた。同点の6回無死満塁の絶好機。カウント2―2から高橋が投じた甘い直球を振り抜くと、鋭い打球はワンバウンドで三塁手・岡本和の頭上を抜けた。2走者を還す左前勝ち越し打。記念すべきプロ初の適時打、初打点だった。

 「うれしいです。1点OKの守備位置。ストライクはどんどん積極的に振りにいって、何とかゴロを打とうと思っていました」

 「コロナ特例」での緊急昇格から2日目。当初は2番左翼でプロ初安打を記録した4月16日の中日戦以来、外野で2度目の先発予定だった。ところが、九里の女房役・坂倉をベンチ外とする決定が試合前の練習中に下り、高卒4年目で初の捕手出場が急きょ決まった。

 「外野でもドキドキしていたのに“あっ、キャッチャーか”ってすごく緊張した。でも本職は捕手。やるしかないし、チャンスだと思って亜蓮さんとしっかり話をしました」

 キャンプ中に肋骨を疲労骨折し、復帰戦でまた頭部死球に見舞われた19年。離脱中に会沢、石原(現野球解説者)の配球を研究し、倉2軍バッテリーコーチ(現1軍)にリポートを提出した。以来、出場した試合の配球チャートを付け始める。こうした努力が1軍初先発で生きた。

 「急きょマスクをかぶることになって大変だったと思うけど、よく打ってくれたし、捕手としてもしっかり結果を出してくれた」

 振り返れば先制された直後の5回にも、先頭で左前打を放って同点の生還。菊池涼ら主力を欠く打線を活気づけ、開幕から5連勝中の難敵左腕攻略の端緒を開いた中村奨を、佐々岡監督は絶賛する。

 「今はすごくチャンス。捕手であれ、外野であれ、与えられたチャンスに食らいつき、ブレずにやっていきたいと思います」

 いまだ記憶に鮮烈な広陵高3年夏の甲子園大会で放った1大会個人最多の6本塁打。記念すべき1軍初先発マスクが巨人戦で、勝利を呼ぶ初タイムリーを放って初打点まで挙げるとは、やはりただ者じゃない。苦境で21歳がまばゆく輝いた。(江尾 卓也)

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