智弁学園・中陳 背番号17で母に示した成長 夏の聖地帰還は背番号4を信じ

[ 2021年3月30日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第9日第3試合 準々決勝   智弁学園4ー6明豊 ( 2021年3月29日    甲子園 )

<智弁学園・明豊>7回表1死二塁、幸の打球を軽快にさばく智弁学園・中陳(撮影・北條 貴史)
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 【お帰り!春球児】心が折れそうになったときがある。入部当初、通っていた病院からの帰り道で智弁学園・中陳は女手ひとつで育てる母・真美さん(40)に「合宿所に帰りたくないな」とつぶやいた。中学2年時に痛めた右膝は本調子ではなく、レベルの高いチームの練習に思うようについていけなかった。

 一方で、壁を感じたからこそ強くもなれた。自身と同様に小柄な1メートル65の先輩で、昨年は近大で佐藤輝明(現阪神)と三遊間を組んだ坂下翔馬を目標に体を大きく使うスイングの習得に励んだ。

 同期で背番号17の北村泰都の負傷で大会直前に選手登録された幸運も生かし「8番二塁」で2試合に先発出場。2回戦の2安打1打点に続き、この日は2回にチーム初安打の左前打。6回は併殺崩れで塁に残り2点目のホームを踏んだ。ユニホームを真っ黒にしながら成長を証明。母も「短期間で大人になった感じ」と目を細めた。

 「一からやり直し。今度は背番号4で甲子園に帰ってきたい」

 名前は北斗七星にあやかった。輝く星へ甲子園から一歩を踏み出した。(鈴木 光)

 ◆中陳 六斗(なかじん・りくと)2004年(平16)11月12日、奈良県桜井市出身の16歳。纏向(まきむく)小では桜井ホワイトスネークスに所属。大三輪中では橿原ボーイズでプレーし3年時にジャイアンツカップ8強。智弁学園では今大会からベンチ入り。1メートル66、75キロ。右投げ右打ち。

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2021年3月30日のニュース