明豊・阿南 執念のスーパーキャッチ 智弁倒し19年に続く4強

[ 2021年3月30日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第9日第3試合 準々決勝   明豊6―4智弁学園 ( 2021年3月29日    甲子園 )

<智弁学園・明豊>6回2死一、三塁、智弁学園・山下の左飛をフェンスに激突しながら好捕する明豊・阿南(撮影・後藤 大輝)
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 6回、智弁学園に2点を返され5―3。2死一、三塁で定位置より2メートルほど前にいた明豊の左翼手、阿南心雄(しゆう)の頭上を長打性の打球が襲った。

 阿南は「うわーっと思った。全力で走りました」と背走しながらキャッチ。フェンスに激突したが、ボールは放さず。しばらく起き上がれなかったが、グラブを掲げアウトが宣告されると、観客から万雷の拍手を受けた。

 「捕ったときは覚えていない。小さい頃からテレビで見ていた甲子園で“わーっ”という歓声を自分が受けているのは不思議な感じでした」とはにかんだ。マウンドでは力投していた太田虎次朗がバンザイしていた。

 実は阿南は守備が得意ではない。もともとは遊撃。昨夏の新チーム発足当初に「守備がだめで外野に回りました」とコンバートされた。練習後にコーチから様々な打球のノックを受けてきた。守備への姿勢は「気持ちで捕るというか。うまくやろうじゃなくて、しっかりボールに食らいついく」。まさにそれを体現したプレーだった。川崎絢平監督は「執念。このチームを象徴するプレー」と称えた。打席でも阿南は3回に中前適時打。攻守で躍動した。

 味方にも勇気を与えた。3安打3打点と打線をけん引した黒木日向は「見ている自分にも闘志に火が付いた」と振り返る。7回に3番手で登板した財原光優は「勝ちへの執念が見えた。絶対に自分も抑えないといけないと思った」と相手の反撃を1点に抑えた。

 東播磨(兵庫)、市和歌山に続き、近畿勢を撃破。これで2大会ぶりのベスト4だ。初回に左越えに先頭打者本塁打を放った幸修也主将は「投手陣が本当に粘ってくれた。強打の智弁学園さん相手に守りからリズムをつくれた」と胸を張った。ここまで3試合無失策。攻守がかみ合った明豊が頂点まで突き進む。

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2021年3月30日のニュース