【阪神・チェン インタビュー(下)】矢野“選手”には「本当に打たれた思い出しかない」

[ 2021年2月11日 05:46 ]

<阪神宜野座キャンプ>  ブルペンで投球練習を終え、矢野監督(右)と話すチェン    (撮影・成瀬 徹)        
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 ――矢野監督が冗談で『オレはすごく打っている印象しかない』と話していた。チェン投手も現役時代の矢野監督は覚えている?

 「私もヒットを打たれたイメージしかないです(笑い)。08年は特に、打率5割以上は打たれた(11打数8安打、打率・727)と思います。矢野さんと対戦した時は本当に打たれた思い出しかないですね」

 ――かつての強敵が今は監督として一緒に戦うことに。不思議な縁を感じるのでは。
 「そうですね。本当に特別な、不思議な感じがしますね。以前は敵チームでしたが、今はこうやって一緒にやれることになり、立場は監督、選手と変わりましたが、自分は投手で監督は元捕手。その中から監督の考えというのを学んでいますし、素晴らしい野球の考え方を持った方で、選手としても素晴らしい選手だったんで、これから監督の野球をいろいろ学べたらいいなと思っています」

 ――昨季のロッテでは4試合全て好投しながら白星が付かなかった。久々の日本での1勝は早くほしい?
 「勝ち星については私自身じゃなく、チームが勝っていればいい。野球とはやはりチーム全体で戦うスポーツです。私の勝ちというよりチームが勝ってくれるのが1番なんで。自分でしっかりとゲームをコントロールして、できるだけチームの勝利に貢献できるようにやっています」

 ――中日時代の09年には最優秀防御率のタイトルを獲得。勝利数以外でも、こだわる成績や数字というのはないのか?
 「一番はケガをしないということ。それが一番の目標。アメリカにいた時の最後の何年かは、ケガというのが付きものだったので。数字のこだわりというのは特にありませんし、一番は自分の体、健康。ケガさえしなければ、貢献できる自信はあるし、ケガせずに1年間やり抜くというのにこだわっています」

 ――キャンプイン前に2週間の自宅待機があった中での異例の調整になっている。最後に、現状の仕上がりと今後への意気込みを聞かせてほしい。
 「やはり2週間の隔離というのがあったので。昨季が終わってから準備はしっかりとしていたんですが、まだ投球感覚というのは探している段階です。2週間が終わってから、また一から準備しないといけなかったので、本当に模索している状態。今は急がずにやっていけたらと思っています。そこはこれまでも長く野球をやってきていますので、自分のペースでやるべきことを一歩一歩進めて焦らずにやっていければと思います」

 《取材後記 新鮮だったチェンの母国語》
 チェンとゆっくり話すのは中日担当だった11年以来10年ぶり。その後、メジャーでスター選手となり、自分のことなど忘れたかなと心配したが「お久しぶりです。担当、替わったんですね」と、当時同様の完璧な日本語で笑いかけてくれた。中日時代は通訳なし。語学でも天性の才能があったのだろう、すぐに日常会話に支障がなくなった。今回のインタビューも質問は通訳を介さず、返答だけは念のために母国語で。日本語でしか会話したことのなかった自分には、チェンの台湾語が逆に新鮮だったほどだ。頭脳明晰(めいせき)で日本仕込みの礼儀もバッチリ。人間的にも若虎への好影響は間違いなしだ。 (山添 晴治)

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