ソフトバンク・工藤監督 王さん超え史上最多5度目、イチ超え史上初3年連続の正力賞

[ 2020年12月9日 05:30 ]

ソフトバンクの工藤監督
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 今季のプロ野球の発展に最も貢献した監督や選手に贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が8日、東京都内で行われ、ソフトバンクを4年連続日本一に導いた工藤公康監督(57)が、史上初となる3年連続で受賞した。選手時代と合わせ5度目の受賞はソフトバンク・王貞治球団会長(80)を抜き、史上最多となった。

 コロナ下で行われた特別なシーズン。その中で3年ぶりのリーグ優勝、4年連続日本一に導いた工藤監督に3年連続の吉報が届いた。球団を通じ、喜びのコメントを寄せた。

 「大変栄誉な賞をいただくことができ、光栄なことだとうれしく思います。この賞は、福岡ソフトバンクホークス全体にいただいた賞だと思っています」

 王会長を抜く史上最多となる5度目の受賞。今季は周東、栗原ら若手を積極的に起用。変則日程に備え、投手陣には球数制限を設けたり登板間隔を空けながら、乗り切った。優勝争いが佳境に入った10月に12連勝のラストスパート。クライマックスシリーズ(CS)ではロッテに2連勝し、巨人との日本シリーズは昨年に続く4連勝で頂点に立った。選考委員会の座長を務める王会長は「チームを活性化する手腕、勝つ負けるとは別に常にチームに緊張感をもたらした。非常に素晴らしいタクトを振ったと思う。今年も工藤監督しかいない」と称えた。

 工藤監督は日本一を決めた直後と同じように、医療従事者やNPB、球団スタッフ、ファンに感謝の言葉を並べた上で「選手たちにとっても大変なシーズンでありましたが“ファンの皆さんの応援に応えたい”という強い気持ちで自らを奮い立たせてシーズンを戦ってくれました」と、ナインをねぎらった。特に短期決戦では若手、ベテランの力を引き出し、昨年から続くポストシーズン記録の連勝を16まで伸ばした。

 「この栄誉ある賞に恥じることのないように、そして“プロ野球があってよかった”と一人でも多くのファンの皆さまに感じていただけるよう、微力ながらも全力で野球界の発展に貢献していきたいと思います」。巨人のV9以来の4連覇を成し遂げたシーズン。5連覇に向け、決意を新たにした。(川島 毅洋)

 ≪記録ずくめの受賞≫ソフトバンクの工藤監督が3年連続5度目(選手1、監督4)の正力賞受賞。同賞を5度受賞は王貞治(巨、ダ、ソ)の4度を抜いて歴代単独最多となった。監督で4度も王、原辰徳(巨)を抜く最多受賞。また、3年連続受賞も94、95年のイチロー(オ)の2年連続を抜いて史上初となった。

 ◆工藤 公康(くどう・きみやす)1963年(昭38)5月5日生まれ、愛知県出身の57歳。名古屋電気(現愛工大名電)では81年夏の甲子園の長崎西戦でノーヒットノーラン。同年ドラフト6位で西武入団。ダイエー(現ソフトバンク)、巨人、横浜(現DeNA)でもプレーし、実働年数29年はプロ野球最長タイ記録。主なタイトルは最優秀防御率4度、リーグMVP2度。15年からソフトバンク監督で3度のリーグ優勝、5度の日本一。左投げ左打ち。

 ▽正力松太郎賞 日本のプロ野球の発展に大きな功績を残した故正力松太郎氏を記念し、1977年に制定された。プロ野球界に貢献した監督、コーチ、選手、審判員を対象に選考委員会が選出する。賞金500万円。受賞者は日本一に輝いた監督が多い。第1回の受賞者は77年に世界記録の756号本塁打を放った王貞治(巨人)。

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