【阪神新人連載】佐藤輝 米国か日本か 高校卒業後に検討した“直接”のメジャー挑戦

[ 2020年12月9日 11:00 ]

牙を研ぐルーキー2020 1位・佐藤輝明内野手(1)

仁川学院時代の佐藤輝(左から2人目)(家族提供)
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 今冬も猛虎の未来を担う若者が新たに加わった。阪神が今秋ドラフトで指名・獲得した9選手のプロ入りまでの歩みをたどる。1位の佐藤輝明内野手(21=近大)が無名の高校時代に抱いた大志とは…。

 晴れ舞台だった7日の入団会見。佐藤輝明は言い切った。

 「イチロー選手が好きだったので、そのイチロー選手のように日本を代表する選手になります」

 言わずと知れた日米通算4367安打を誇った希代の名選手。壮大な目標を掲げた。

 「ずっと小学校の時から好きだった。テレビでチャンネルがついてたら見てましたね」

 イチローや松井秀喜の勇姿を目に焼き付けていた頃から憧れた舞台。大志を抱いたのは、実は高校時代だった。プロ野球を経ることなく直接、米球界への挑戦を検討したことがあったという。

 「そういうのも選択肢としてはあった。多少なりとも考えたりはしましたね」

 仁川学院では2年夏の兵庫大会4回戦が最高。甲子園出場がなく、全国的に無名に近い存在だった。近大・田中秀昌監督の目に留まったことで最終的にプロ志望届は出さず、大学進学を選択。実績に関係なく大きな夢を描ける器を持っていた。

 近大でも世界に触れる機会があった。2年時に大学日本代表に選出され、日米大学選手権とハーレム国際に出場。「世界の選手と戦えるのはうれしかったし、楽しみでした」。背番号3を付け、森下(現広島)、伊藤(日本ハムドラフト1位)、辰己(楽天)らとともに日の丸を背負って挑んだ。

 「投手はすごかった。森下さんもそうですし、松本航さん(現西武)も、その時のエースだったんで、すごいなと。甲斐野さん(現ソフトバンク)もいましたしね」

 2大会で合わせて5試合に出場して13打数1安打1打点。結果は残せなくても、大きな刺激を受けた。再び侍ジャパンの一員になることは目標の一つだ。

 「そのためにしっかり1軍で打って活躍すれば、いつか呼ばれると思う。やってみたい気持ちはありますね」

 夢の舞台への憧れは今も強い。ブライス・ハーパー(フィリーズ)やノーラン・アレナド(ロッキーズ)らメジャーを代表する強打者に魅了され、プロ入りに際して準備した三塁手用グラブはハビアー・バエズ(カブス)と同じブロンド色の配色にした。「華のあるプレーを見ることが好き」。ドラフト会議では4球団競合で1位指名される実力を身に付けて晴れてプロの門を叩き、改めて将来的な夢を思い描いた。

 「行ってみたいなという気持ちもあります。メジャー好きですし。やってみたいというのはあります。そのためには、やっぱり阪神で打たないとダメなんで」。4年前に芽生えた大志は、いまも胸の中で大切に持ち続けていた。 (阪井 日向)

 【佐藤輝明はこんな選手】
 ☆生まれ&サイズ 1999年(平11)3月13日生まれ。兵庫県西宮市出身の21歳。B型。1メートル87、94キロ。右投げ左打ち。
 ☆球歴 小1から「甲東ブルーサンダース」で野球を始め、甲陵中では軟式野球部に所属。仁川学院では高校通算20本塁打で、甲子園出場なし。近大では1年春からリーグ戦に出場し、2年春秋と3年春にベストナイン、2年秋と4年秋にMVP。通算14本塁打は新リーグ(82年創設)記録。
 ☆憧れ イチロー。
 ☆背番号8 近大でも3年秋から8番。「福留選手が付けていた番号。光栄なこと」。
 ☆好きな有名人 ももいろクローバーZで、好きな曲は「吼えろ」。
 ☆対戦したい投手 近大の1学年先輩に当たるオリックス・村西。
 ☆座右の銘 試してみることに失敗はない。

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