巨人・菅野、ポスティング申請も悩ましい…コロナでメジャー移籍市場不透明、残留も選択肢

[ 2020年12月9日 05:30 ]

ポスティングシステムの正式申請を受け、取材に応じる巨人・菅野
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 巨人は8日、菅野智之投手(31)が大リーグ球団と交渉するため、ポスティングシステムの申請を行ったと発表した。全30球団に契約可能選手として通知され、交渉は米東部時間8日午前8時(日本時間8日午後10時)から来年1月7日午後5時(同8日午前7時)までとなる。大リーグの今オフの移籍市場は新型コロナウイルスのため不透明な状況。そのため、菅野は巨人残留も選択肢に入れ、年内決着を望んだ。

 憧れの舞台へ確かな一歩を踏み出しても、決して晴れやかではない。大リーグとの交渉が可能となった菅野はジャイアンツ球場での練習後に日本シリーズ後初めて取材に応じた。しかし、その表情は終始悩ましげだった。

 「ホッとしている気持ちと、この先どうなっていくのか分からないので不安もあります。正直、いろんなことが手に付かない状態。今でも悩んでいます。これからもたくさん悩むと思うけれど、後悔のない選択をしたいです」。夢と現実のはざまで揺れている。それが、偽らざる心境だった。

 大リーグは今季、新型コロナウイルスの影響で60試合にとどまり、来季も通常通りに開催されるか不透明だ。移籍市場も見通しが立ちづらい。巨人のエースは「特に行きたい球団があったり、こだわりはない」と全30球団OKの構えだが「チームというより、MLBの来年のシーズンがどういうふうに行われるか、そこだけですね」と不安を抱き、巨人残留も選択肢に入れる。

 メジャーへの思いは強い。前田(ツインズ)や大谷(エンゼルス)、ダルビッシュ(カブス)の名前を挙げ「いろんな日本人の方が活躍する姿を見て、単純に一野球人としてプレーしたいと。年齢的(31歳)にも、残されたチャンスは少ない」とポスティング制度の利用を申し入れた。

 球団もリーグ優勝4度の貢献度と1年の浪人生活を考慮して受け入れ、全面的な支援を約束。菅野も「感謝しかない」と言った。交渉期限は来年1月8日午前7時(日本時間)。だが自らの去就で来季の戦力構想も変わってくるだけに「年内決着を望んでいます」と早期の決断を目指す。

 今後はダルビッシュらを顧客に持つ「ワッサーマン・メディア・グループ」のジョエル・ウルフ氏を代理人に大リーグ球団との交渉を進める。「まだ代理人から“ここが接触してきている”とか何も聞いていない。まずは話を聞いてみて。そこからいろんなイメージが湧くのかなと」。ただ、こうも言った。「行く意思があるからポスティングを申請しているが、向こうに決まる前提で話は進めたくない」。悩み抜いて、納得のいく答えを出す。 (青森 正宣)

 ▽ポスティングシステム 海外FA権の取得前に大リーグに移籍する制度。以前は獲得希望球団が入札し、最高額を投じた球団に独占交渉権が与えられたが、現在は入札はなく、全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金は選手が契約で保証される額により変動。メジャー契約の場合、保証額のうち2500万ドル(約26億円)までの部分の20%、2500万ドルを超えて5000万ドル(約52億円)までの部分の17・5%、5000万ドルを超えた額の15%の合計となる。契約期間内に獲得した出来高払いの額からは15%が追加で支払われる。マイナー契約での譲渡金は契約金の25%。

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