夏の交流試合で人生変わった…帯広農・水上“跡取り”封印し札幌国際大で野球続ける

[ 2020年12月5日 05:45 ]

<健大高崎・帯広農>7回から登板し最終打者を三振に打ち取り拳を握りしめる帯広農・水上(撮影・後藤 正志)
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 今夏の甲子園交流試合に出場した帯広農(北海道)ナインの進路が固まった。快勝した高崎健康福祉大高崎(群馬)との試合で投打で活躍した水上流暢は4日、札幌学生野球2部の札幌国際大に合格。「打者として勝負したい。レギュラーになり、1部昇格して全国に行きたい」と声を弾ませた。

 当初は、音更町で50ヘクタールの農家を営む両親の後を継ぐ予定だった。甲子園で3打数1安打、投げては3回を2安打無失点の結果を残し、現役続行の思いが芽生えた。“跡取り”を封印して「大学卒業後も上で野球を続けられたら」と選手としての可能性を追求する。

 一方、甲子園で先発して6回6安打1失点と好投した井村塁主将は、初志貫徹で公務員試験に合格した。音更町役場に内定し、農業土木の専門職員として畑の管理や道路工事などに携わる予定だ。「野球をやろうか迷ったけれど、主将として決断力を大切にしてきた。最後は自分で決めた」とまずは仕事に専念する。

 3年生で卒業後、野球を続ける選手は7人。札幌学生3部の北海道医療大に進む4番の前田愛都は「理学療法士になりたい」という夢と野球を両立させる道を選んだ。将来社会人入りを目指す水上以外は、それぞれのペースで続ける。水上は「みんなの分も背負って帯農代表として頑張りたい」と語る。

 帯広農ナインにとって、甲子園は特別な場所だった。「練習してきたことを100%、120%出せた」と井村は振り返る。帰道後は進路活動に忙殺され、思い出を語り合う場がなかった。「元々仲が良いメンバー。集まれるなら、集まりたい」と井村は同期会を提案する。あの思い出を誇りに、それぞれが新たな世界で羽ばたく。(石川 加奈子)

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2020年12月5日のニュース