イチロー氏、高校球児に伝えた“日本野球” フリー打撃19発に智弁和歌山ナイン「えぐい」

[ 2020年12月5日 05:30 ]

智弁和歌山の選手に指導するイチロー氏
Photo By 代表撮影

 昨年3月に現役を引退した、イチローさん(47=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が4日、春夏の甲子園で3度の優勝を誇る強豪・智弁和歌山の野球部員を指導した。自身初めての高校生指導は今月2日から3日間の日程で、この日が最終日。高校野球に日本野球の将来への大きな可能性を見いだしているイチローさんは「感じる」ことの重要性を訴え、フリー打撃では自らバットを握って19本の柵越えも披露した。

 濃密な、あまりにもぜいたくな時間だった。午後4時前。3日間の指導を終えたイチローさんは選手から花束を受け取り、それまでの指導と同様に熱のこもった口調で言った。

 「僕が伝えられることはこの3日間で伝えたので。期待しています。頑張って」

 練習は午前11時32分にスタート。「2日間、気を張っていたと思うけど、リラックスしてやりましょう」。選手と一緒にランニングなどをこなしながら、気軽に言葉を交わす。ダッシュでは高校球児に勝ち、笑顔でガッツポーズも見せた。そんなイチローさんの表情が一変し、真剣なまなざしとなったのが一塁ベース付近で走塁技術を伝授した時だ。

 「右脚の(曲げる)角度をキープしてスタートを切りたいけど難しい。切る角度がそれぞれある。それを探していく」「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」

 スタートの切り方、帰塁の方法…。技術だけでなく心構えなど精神論にも及んだ。そこで強調したのが「感じる」こと。「(投手の癖は)醸し出す雰囲気で感じてほしい。それは隠せないので」。次々と発せられる金言。選手たちは目を輝かせながらうなずいた。

 イチローさん自身も高校生への指導を熱望していた。11月26日に神戸市内で行った講演。「高校野球は“野球”をやっている。メジャーリーグは今、“コンテスト”。どこまで飛ばすか。野球とは言えない。どうやって点を取るか。高校野球にはそれが詰まっている。頭を使うし、めちゃくちゃ面白い」――。感じて、考えて、表現する。それが日本野球の強みであり、美しさ。イチローさんもメジャーの屈強な選手に囲まれながら、日本野球が持つ美しさを表現し続けてきた。

 3日間の指導。自身も初日は選手の動きをじっくりと観察して、感じた。2日目から実際に指導を開始。この日は自らフリー打撃を実演。76スイングで19本の柵越え、うち9本が防球ネットを越えた「場外弾」だった。選手からは何度も「えぐい」の声が上がった。その姿を見た智弁和歌山のナインが何を感じ、考えるか。濃密な3日間が終了。日本野球の持つ遺伝子は、イチローさんから若い世代へと確かに伝えられた。

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