井口ロッテの快進撃 よみがえるか「日本一5年周期説」

[ 2020年9月10日 12:19 ]

ロッテ・井口監督
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 2位に8・5ゲーム差(9日現在)をつけ、独走する巨人。原監督はV9監督の故川上哲治氏の球団監督最多1066勝に並び、勢いはさらに増している。「目的は勝つこと。その1年に勝つ。それの積み重ね」。経験に裏付けされた選手起用や采配。その言葉には重みがあり、他球団の若い監督は太刀打ちできない。圧倒的優位に立つ上に今季はコロナ禍によるシーズン短縮に伴い、セ・リーグはクライマックス・シリーズ(CS)を行わない。リーグ優勝=日本シリーズ進出となる。

 対するパ・リーグは、首位のソフトバンクと2位のロッテが3位以下を突き放し、0・5ゲーム差で激しい首位争いを繰り広げている。3年連続の日本一で戦力層も厚いソフトバンクの現在の位置は順当と言える一方で、ロッテの善戦ぶりが目立っている。5年ぶりに思い出されるのが、「日本一5年周期説」だ。シーズン2位だった2005年にプレーオフ第2ステージでソフトバンクを破ってリーグ制覇し、31年ぶりの日本一を達成。バレンタイン監督による「ボビーマジック」である。5年後の10年は、シーズン3位から初めて日本一を成し遂げ、「史上最大の下克上」と呼ばれた。5年後の15年も3位でCSに進出したが、ファイナルステージでソフトバンクにスイープされた。再び5年後の今季。忘れ去られた「周期説」がよみがえる。

 05、10年の日本一の立役者で「つなぎの4番」と呼ばれたサブローと重なる存在もいる。安田だ。打率は・222(9日現在)と規定打席到達者でブービー。それでも長打力があり、ソフトバンクの千賀ら他球団のエース級から打てる頼もしさもある。さらに、粘り強く四球を選ぶ場面も多い。井口監督は高卒3年目のスラッガーを「今年は上(1軍)のレベルに合わせなくてはならない。我慢の時期も必要」と主砲として育てる決意である。「育成型の4番」だ。腰痛で帰国した主砲レアードに代わり、4番で起用した7月21日から26勝16敗2分けと貯金を10も増やした。若い安田を打線全体で盛り立て、それが活気につながっている。

 育てながら勝つことは難しい。それでも10年日本一の功労者でもある井口監督はどっしりと構え、一喜一憂しない。古巣のソフトバンク相手には17勝8敗だった昨季に続き、今季も8勝3敗1分け。終盤の直接対決に持ち込めば、優位に立てる。パはセと違い、上位2球団によるCSが行われる。「ロッテVSソフトバンク」の日本シリーズ進出を懸けた戦いは最後まで続きそうだ。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2020年9月10日のニュース