原監督 川上監督に並んだ1066勝 共通する「勝利至上主義」

[ 2020年9月10日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―4中日 ( 2020年9月9日    ナゴヤD )

通算1066勝を達成した原監督はサインボールを手に笑顔を見せる(撮影・森沢裕)
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 巨人は9日、中日を5―4で下し、原辰徳監督(62)はV9を成し遂げた川上哲治氏(故人、享年93)に並ぶ球団歴代1位の監督通算1066勝に到達した。坂本勇人内野手(31)がプロ14年目で初の1試合3発となる3打席連発を放ち、メモリアル勝利に花を添えた。4連勝で貯金も今季最多の20に到達。名将の下で、2年連続のリーグVにまい進する。

 巨人の歴史が師弟の絆でつながっていく。「神様」に並んでも、原監督の表情はまだ張り詰めていた。

 「戦い半ばという中でどういうふうに考えても言葉が出てこない。突っ走っているということだけですね。感慨に浸るような余裕はない」

 原監督は川上氏が現役を引退した58年に生まれた。監督就任後はキャンプ前やシーズン中、幾度となく手紙や電話で激励を受けた。「よく褒めていただいてね」。08年4月。東京ドームで観戦した川上氏に「本当に思いきって若手を使う。たいしたもんだ」と称えられたのが忘れられない。

 その若手こそ、高卒2年目で開幕スタメンに抜てきした坂本だった。手塩にかけて育て上げた主将が広いナゴヤドームで史上初の1試合3発。「見事でしたね。一番(本塁打が)出づらいという球場でね」。通算1066勝目を贈ってくれた。

 川上氏は現役最終年に入団した長嶋茂雄を見て「自分の後の4番が決まった」と思い、近所に住まわせ下宿の世話をした。球場への送り迎えまでしている。監督としては、ナインの前で叱りつけた。一方で王貞治を叱責(しっせき)する際は個室に呼んだ。明るくへこたれない性格を見込んでいたのだ。V10を逃した74年、長嶋に後継を託した。

 原監督は19歳の粗削りなプレーに「勇人はもう使わねえ!」と幾度となく怒った。しかし翌日球場に行くと、目をぎらつかせて待つ姿に「練習やるか」と声を掛けることになる。試合直前にマネジャーを呼び、何度スタメン表を書き換えさせたことか。「勇人なしのスターティングメンバーは相当ゴミ箱に入っているはず」と笑う。

 2人の名将が共に貫く「勝利至上主義」。勝負どころで1点を奪うため、坂本にもバントのサインを出す。その姿は長嶋、王の「ON」に犠打を命じた川上監督と重なる。同氏は9人の選手が動く守備の連係プレー「ドジャース戦法」を取り入れた。日本で言う「和」と解釈したのだ。原監督はヤンキースのキャンプで、トーリ監督の座る指揮台に招かれた。「日本人で初めてだと思う。上から選手全員が本当によく見えた」と適材適所に配置するため取り入れた。川上氏が座右の銘としたチームの「和」を、坂本を中心に「原タワー」からつくりあげた。

 ナゴヤドームは02年に監督1勝目を挙げた思い出の球場。07年9月6日の首位攻防戦で1年目の坂本を延長12回2死満塁で送り出し、18歳が決勝打となるプロ初安打で応えてくれた球場でもある。「シーズンが終わると違った形で言葉にできるかもしれない。今はまだ本当に突っ走っている。まだ浸れない」。言葉に、常勝軍団の将たるゆえんがにじみ出る。(神田 佑)

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