【20年版球界新士録(12)】楽天ドラ3・津留崎 大学時代“引退危機”乗り越えたマッスル右腕

[ 2020年1月26日 09:30 ]

153キロの直球が武器の津留崎 
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 野球をやめるつもりだった。「こんなに努力したのに結果が出ない。どこの会社を目指そうかな…」。大学3年の秋季リーグ戦の終盤、大学で野球に一区切りをつけて就職活動に意識が向いている自分がいた。野球部の同級生たちとANAのパイロット志望のインターンに応募。早慶戦初戦の前日に面接を受け、100倍の難関を見事に突破した。

 「8000人ぐらいの応募者がいて、合格したのは約80人だと聞いた。その先の本採用の試験にも進めればいいなと思っていた」

 4年生になって才能が開花した。趣味は筋力トレーニング。1メートル77と大柄ではないが、鍛え上げた肉体から繰り出す直球は最速153キロを誇り、一気にプロのスカウトが注目する存在になった。「3年生で諦めていたら、今の自分はなかった」。土壇場で地道な努力が実を結んだ。

 慶応高3年の11月に右肘のじん帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた。慶大に進むも、丸1年間はリハビリに励み、その期間中に筋トレに目覚めた。大学2年春の早慶戦の第3戦でリーグ戦デビュー。この試合での最速は143キロだった。それから球速は10キロもアップした。

 入寮時、東北が生んだ人気お笑いコンビ・サンドウィッチマンのDVDを持ち込んだ。「東北のスーパースターといえばサンドウィッチマンさん。僕も皆さんに応援される存在になりたい」と目を輝かせた。座右の銘は「筋肉は裏切らない」。紆余(うよ)曲折を乗り越えたマッスル右腕が、東北の地からスターの階段を駆け上がる。(重光 晋太郎)=終わり=

 ◆津留崎 大成(つるさき・たいせい)1997年(平9)10月10日生まれ、千葉県出身の22歳。小学1年から野球を始め、中学時代は佐倉シニアで投手だけでなく捕手や外野手としてもプレー。慶応高から慶大に進み、4年時に明治神宮大会優勝。球種はストレート、カーブ、カットボール、ツーシーム、フォーク。19年ドラフト3位で楽天に入団。1メートル77、85キロ。右投げ右打ち。

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