【次のスターはオリまっせ】岩本輝投手 球速アップでNPB復帰!“福井の奇跡”はまだまだ続く

[ 2019年1月25日 14:23 ]

独立リーグからNPBに復帰後、球速が6キロもアップした岩本輝
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 オリックスの次世代スターを発掘する当コラム。第5回目は岩本輝投手を取り上げる。

 それは奇跡としか言いようがない話だ。冗談ながらに岩本は「本当に奇跡ですよ。ドーピングを疑われるかもしれませんね」と笑う。プロで6年間も過ごした男が、独立リーグで再起をかけ、直球のMAXを6キロも上昇させNPBに復帰。26歳ながら、高校生のような伸びしろを見せているのだ。

 岩本は11年に南陽工から阪神に入団。12年には1軍初登板で初勝利もマークした。さらに15年には開幕ローテに入るなど期待された右腕だったが、16年限りで戦力外通告。BCリーグ福井で現役を続けるものの、1年目の17年はNPBからのオファーはなかった。だが、1つの決断で運命が大きく動き始めた。

 「同じ事をやってもダメだろうなと思ったので、今までやらなかった練習メニューをやりました。(元阪神の)西村さんが防御率0・00だったのに、NPBに復帰できなかった。(求めるものが)こういうものではないんだと思って。僕も独立リーグは2年間と決めていたので、何か変えようと思って」

 西村は15年に独立リーグ石川で26試合に登板しながら自責点0。しかし、NPBからのオファーは届かなかった。そこで岩本が求めたのはスピードアップ。これまで瞬発力を高めるような筋力トレーニングを継続してやらなかったが、独立リーグ1年目の終わりに決断し、MAX146キロの球速を上げようと考えたのだ。

 阪神時代の最後は筋力トレーニングをやめていたというが、福井で再開すると140キロ前後だった直球が、12球団合同トライアウトで146キロをマークするまでに至った。「これかもしれない」。そのまま11月から翌年2月まで、地元の山口で地道にトレーニング。長い練習期間が幸いしたのか、3月に福井に戻り、実戦で投げ始めるといきなり148キロが出た。その後も球速は上昇し、ついには152キロをマーク。わずか半年ほどで、MAXが6キロも上昇する変身を遂げたのだ。

 その直球に魅力を感じたのが、たまたま視察していたオリックスの長村球団本部長だった。7月、オリックスは緊急獲得を即決。そのままチームに合流し、昨年は17試合に登板してNPBで1094日ぶりとなる白星を挙げるなど、救援陣の一角に割って入った。高い壁を乗り越え、ついにNPBに帰ってきた。

 今オフは、自身初の試みとして1カ月ほどのノースロー期間を設けた。独立リーグから合計して、実戦で60試合ほど登板した疲労を完全に取り除くため。もちろん、年末年始は山口に戻り、昨オフ同様の「奇跡のトレーニング」を継続。3年ぶりとなるNPBのキャンプに「色々、やらないといけないこともありますし、不安もありますけど、でも楽しみもあります」と、ワクワクした表情も見せる。

 説明しがたい6キロの球速アップ。岩本の体には、眠っていた力があったのだと思う。「そういえば、福井はチーム名がミラクルエレファンツでしたね」と、照れ笑いを浮かべた。福井で始まった奇跡。まだまだ続きを見たいと思うファンも多いはずだ。(当コラムはスポニチホームページで不定期連載中)

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2019年1月25日のニュース