DeNA筒香 “勝利至上主義”に警鐘「子どもたちを守らなくては」

[ 2019年1月25日 14:48 ]

会見を開いたDeNA・筒香(撮影・島崎忠彦)
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 DeNAの筒香嘉智外野手(27)が25日、東京都内の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。自ら出身チームの「堺ビッグボーイズ」のスーパーバイザーを務めるなど小中学生、高校生を取り巻く野球界の現状について高い関心があり「野球界でいうと勝利至上主義。どの年代も選手の将来的な活躍よりも今の活躍、今の勝利を求める。それが一番問題があると思う」と問題提起した。

 全ては子どもたちの将来のため。具体的な改善策について、まず「トーナメント制は大きな弊害があると思う」と切り出した。勝ち上がれば勝ち上がるほど日程がタイトになり、肉体的負担が大きくなる。勝ったことでメンバーも固定されやすくなると分析し「負けて悔しがる思いは必要だけど、子供の将来が潰れてしまっている現状がある。野球が楽しくないという子供も増えてきている」と話した。

 次に課題に挙げたのが「球数制限」。プロ野球選手が戦うワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など国際大会で導入されていても、高校生が戦う甲子園ではいまだ導入されていないのが現状だ。「小さい小学生が肘や肩を傷め、ひどい時には手術をしなければいけなくなると聞く。アメリカでは球数制限が導入されているが、日本はまだ導入されていない。各連盟がルールを決めて子どもたちを守ってあげないとまた同じ繰り返しになる」と警鐘を鳴らした。

 これらは思いつきで言っているわけではない。筒香には確たる信念がある。きっかけは15年オフ、ウインターリーグ参戦のためドミニカ共和国を訪れた時のことだった。現地ではいつでも、どこでも子どもたちが楽しそうに野球している光景を目の当たりにした。「ドミニカ(共和国を)を訪れて感じたのは、答えを与えすぎない、無理をしない指導だった」。データも証明している。U―12侍ジャパン代表メンバーの15人のうち10人(約67%)が肘の内側傷害と診断されたが、現地での検査で同じ診断が下されたのは224人のうち41人(約18%)だったという。「もちろんドミニカ共和国が日本の素晴らしさを学ばなければならないこともあるが、日本も他国の素晴らしさを学ばないといけない。もっともっと変わっていかないといけないと感じている」と話した。

 17年1月、「堺ビッグボーイズ」のスーパーバイザーに就任したことで少年野球に携わる父兄や関係者の話に耳を傾ける機会も格段に増え、野球に携わる当事者として大きく意識も変わった。「将来のある子どもたちを守るには一発勝負のトーナメント制をやめ、球数制限などルールを決める必要があると思う」。決してきれい事だとは言わせない。「子どもたちの先の将来を考えれば(改革は)そんなに難しい問題ではないと思う。野球人口が減っていく中で野球を通じて子どもたちのことを守らなくては、野球をやる意味はないと思う」と言い切った。

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2019年1月25日のニュース