【センバツ選考事情3】新しい“文”武両道への可能性〜21世紀枠

[ 2019年1月25日 18:08 ]

21世紀枠出場の野球部部員に報告する熊本西・柿下校長(左)(撮影・中村 達也)
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 第91回選抜高校野球大会(3月23日から4月3日までの12日間、準々決勝翌日の休養日を含む)の選考委員会が25日、毎日新聞大阪本社で開かれ、21世紀枠を含む出場32校が決定した。

 中国・四国地区の最終5番目の選考は中国3番目評価の呉と四国3番目の高知商を比較した。井尻陽久・地区委員長は「最終的には投手力の差が決め手となった」と話した。

 先に選考を終えていた21世紀枠で、四国の富岡西が選出されていた。高知商を選べば四国地区に偏る地域性について井尻委員長は「基本的には別物と考えているが、全く(影響が)ないとは言い切れない」と話した。

 高知商の野球部員が同校ダンス同好会の有料発表会にユニホーム姿で出演したことが日本学生野球憲章に抵触すると問題視されている。この点と選考への影響について、日本高校野球連盟の竹中雅彦事務局長は「選考には一切影響はありません」と話した。

 21世紀枠特別選考委員会では東日本からは石岡一、西日本から富岡西を選出。地区を限らず選ぶ3校目に熊本西を選んだ。

 東日本では、石岡一が同様に評価の高かった清水桜が丘と比較検討し、選出された。農学校が母体の石岡一は園芸科などがあり、部員全員がそろいにくいハンディキャップを工夫した練習で克服。大学進学率などとは違った、農業を通じた「新しい形の文武両道を示す可能性がある」と評価された。日本高野連の竹中雅彦事務局長は「昨年夏の甲子園大会で金足農ががんばった流れもあるかもしれない」と話した。

 西日本では「いずれも甲乙つけがたい」と白熱した論議のうえ、富岡西を選出。学校のある徳島県阿南市は人口減少が続くなか「野球を通じた町づくり」を進め、同校が中心的役割を果たしていると評価された。また過去2度、四国地区推薦校に選ばれるなど、継続した取り組みが高評価を得た。

 最後の熊本西は選手たちが中学生だった2016年4月に熊本地震に見舞われ、大半が避難所生活を送りながらボランティア活動を行うなど困難克服に努めた。

 昨年11月の練習試合で部員が頭部死球を受けて死亡する悲しい事故があった。悲しみを乗り越える姿勢について、プレゼンテーション(推薦理由説明会)でも話があり、八田英二選考委員長(日本高野連会長)は「公式資料に記載はなかったが、説明会で触れている。決定的な理由ではないが、総合的に判断したと理解してほしい」と説明した。(編集委員・内田 雅也)

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