中日・大野雄 大幅減俸更改も報道陣に異例のお願いをしたワケ

[ 2018年12月5日 09:30 ]

「暗い写真を使わないで」と明るい表情で会見を締めた中日・大野雄
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 プロ野球はオフシーズンを迎え、各球団の選手たちが契約更改に臨んでいる。昇給、減俸、現状維持と選手たちは悲喜こもごもだ。

 先日、中日・大野雄大投手(30)の契約更改交渉を取材した際、思わずはっとなった。3度の2桁勝利を記録している左腕だが、今季はルーキーイヤーの11年以来となる未勝利に終わった。ここでは詳しい金額はあえて書かないが当然、減額制限(25%)いっぱいの大減俸となった。

 本人も「今年1年、期待を裏切るピッチングばかりした。下がるのは仕方ないと受け止めている」と納得の末、サインした。

 その後、今季の反省や来季への意気込みなどの質問に丁寧に答えていった大野雄は、会見の最後に報道陣にお願いをした。

 「あまり暗い顔の写真を使わないでくださいよ。来季に懸けているので」

 その一言で慌ててペンをカメラに握り替え、明るい表情で前を向く左腕の姿を撮り直した。ただ、こういったお願いをされたのは初めてだった。

 契約更改の会見は、その年、昇給を勝ち取った選手には報道陣が小道具などを用意し、賑やかな写真撮影が行われる。一方、減俸の選手はどうしても反省しているように下を向き、伏し目がちな瞬間を狙って撮る。

 大野雄自身も「プロに入っていろんな選手の契約更改を見てきたけど、年俸が上がった人は嬉しそうな写真で、下がった人は人生が終わった感じで写っている」と報じる側の意図を理解している。

 その上で「もちろん、契約更改の場は今季を振り返らないといけないけど、与田監督のもと、新体制で来季に向けて秋季キャンプも始まっている。来季に向けてスタートしている自分の姿を見せたかった」と来季こそ、巻き返してやろうという気持ちから異例のお願いをしたことを明かしてくれた。

 今季、未勝利に終わった要因は様々あるが、その1つとして「間がなかった」と振り返った。引退した岩瀬や新首脳陣らから「すぐ投げたがる」と指摘を受けたといい「球速を求め過ぎたことから来ている。打者から見たら打ちやすい球になっていた」と自己分析し、秋季キャンプでは投球フォームの修正に努めた。「いろんなことを教えてもらい、すべてが収穫。自分自身、良い方向に向かっている」と手応えも十分だ。

 チーム最多13勝を挙げたガルシアが退団したのもつかの間、また同じ左腕のロメロの加入が決まった。「ガルシアが残留していても勝たないといけない。球速が落ちているわけでないので、“間”を取り戻し、1年の気持ちの持ちようを整えたら、必ずやっていける」と覚悟を口にする。

 大野雄の復活がBクラスに沈むチームの上位浮上へ鍵を握っていると言っても過言ではない。来年の契約更改こそは、心の底から笑った顔で臨んで欲しい。(記者コラム・徳原 麗奈)

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