【和歌山】「伝説の左腕」の伝統校・向陽 監督も「緊張する」100回大会初戦突破

[ 2018年7月14日 17:19 ]

第100回全国高校野球選手権記念和歌山大会2回戦   向陽5―0和歌山高専 ( 2018年7月14日    紀三井寺 )

<和歌山高専・向陽>8回を2安打無失点と好投した向陽・小林(撮影・奥 調)
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 春15回、夏7回の甲子園出場を誇る古豪、向陽が5―0の快勝で初戦を突破した。

 堀内孝貢監督(67)は伝統を引き継ぐ一員としての責任感から「やはり100回となると重圧がかかる」と監督自身にも緊張感があったという。

 これまで松野椋太(3年)―小林亮太(3年)の継投できたが、「初戦は大事にいきたい。四球を与えて乱れることもある松野より、安定感で小林を先にいかせようと数日前に変更を決めた」と、小林を先発に起用。8回零封の好投で「打線も活気づいた」。

 打線では5番の島本崇希(3年)が3回裏にライナー性飛球を好捕。直後の4回表先頭で初球を左翼席に先制本塁打して、流れをつくった。

 「練習試合でもファインプレーした後に長打が出ることが多かった。守りからリズムをつくるというのがチームとして目指すところなので良かった」

 大先輩に「伝説の左腕」と呼ばれた嶋清一(戦死=野球殿堂入り)がいる。旧制海草中時代の1939(昭和14)年夏の甲子園大会で全5試合を完封(うち準決勝、決勝連続ノーヒットノーラン)の快投を演じた。学徒出陣で召集され、45年3月、仏印沖で戦死している。

 向陽では10年前から新入部員全員に評伝『嶋清一 戦火に散った伝説の左腕』(山本暢俊著・彩流社)を渡して、その先人の偉業や母校の歴史を学ぶように勧めている。2010年の選抜に21世紀枠で選出された際も「戦争と野球の歴史を勉強している」と、その姿勢が評価されていた。

 島本も当然、同書を読んでおり「嶋さんは甲子園でも大活躍した方だった。自分たちも先輩に恥じない活躍をしないといけない」と話した。

 自身が向陽3年夏は50回大会だったという堀内監督は「こうした歴史の大きな節目に立ち会えるのは幸せなこと。重圧もあるが、プラスにとらえて戦っていきたい」と前を向いた。(内田 雅也)

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