糸井 特大弾 5年連続8度目10号「勝てて良かった」

[ 2017年8月24日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神7―4ヤクルト ( 2017年8月23日    神宮 )

<ヤ・神>5回、糸井が5年連続8度目となる10号のソロアーチを放つ
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 いつになく華麗に見えたバット投げが、打球のすさまじさを物語っていた。2点リードの5回。先頭で打席に入った阪神・糸井が、原樹の初球、甘いスライダーを完璧に捉えた打球は右翼スタンド上段に瞬時に到達。大歓声より、どよめきが勝る驚きの一発だった。

 「振り抜けて良かったです。勝てて良かった」

 オリックス時代の13年から5年連続2桁本塁打となる10号は5年連続の長期ロード勝ち越しを決める勝利に大きく貢献した。

 これだけじゃない。1点を追う3回。1死一、二塁の好機で、変化球に詰まらされながらもしぶとく三遊間を破る同点適時打。「良い感触で捉えられました。追加点が取れて良かった」と、その後の福留の3ランも、お膳立てした。

 切り込み隊長としても能力を発揮する。6月9日ソフトバンク戦以来の1番で2安打2打点。今季は11試合で1番を任され42打数14安打、打順別でもトップの打率・333、2本塁打の好数字を残す。金本監督も「長打もあるから」と説明したが、この日は期待通りの活躍で起用が“大当たり”となった。

 離脱を余儀なくされた「右脇腹の筋挫傷」。オリックス時代の14年開幕前にも同箇所を痛めたが、今回の痛みは数倍だったという。当時もリハビリに付き添った本屋敷俊介トレーナーは「あの時はすぐに(練習が)できたけど、痛がり方が明らかに違った。クセになりやすい箇所やから(無理に練習を)“やるな!”って言ったよ。あいつは“やるな”って言っても練習するから難しいけどね」と証言した。

 苦笑いで話した同トレーナーは、糸井が時には体を酷使してでも練習する性格と知っている。「あいつはデーゲームでも必ず早出(練習)するからね。普通の人がやったらすぐ壊れるよ」。だからこそ、無理はするなよ、の思いを伝えた。

 登録抹消直後は「10日後です」と最短復帰を目指していた糸井だが、リハビリメニューは慎重だった。一日でも早く――。その思いは当然あっただろうが、とにかく大事に、慎重に調整した。全ては万全で帰るために。

 試合後、患部について「怖さはあるけどね…」と本音を漏らした糸井。ただ、プレーする姿はケガの事実を忘れてしまうほどだった。

 24日に阪神が勝ち、広島が敗れると、再び自力優勝の可能性が復活する。復帰後、チームは5勝1敗。「超人」が先頭に立って驚異の逆襲を呼び込む。(巻木 周平)

 ≪夏のロード勝ち越し決定≫阪神は今季の夏のロードを4試合残して14勝8敗1分けとし、勝ち越しを決めた。13年から5年連続勝ち越しは、フランチャイズ制導入の52年以降、68〜72年の5年連続と並ぶ最長記録となった。最近10年で見ても勝ち越し6度、5割1度、負け越し3度と、この期間のチームは勝ち越しの傾向。移動手段の発達や、甲子園に近く空調の効いた京セラドームでの主催試合が挟まれるため「死のロード」のイメージは、もはや過去のものとなっている。

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