「現役は引退していません」元DeNA・内村賢介の新しい夢

[ 2017年3月27日 10:20 ]

DeNAでは2012年から昨季までプレーした内村
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 ネクタイにスーツの見慣れない姿。元DeNA・内村賢介(31)は苦笑いで切り出した。「僕、(インターネットで)行方不明って情報が流れていて。元気でやっていますよ。今は毎日が充実している。現役は引退していません。一度は野球を辞めようと思ったけど…やっぱり好きだし、離れられなかった」。

 昨季はプロ9年目で初の1軍出場なし。戦力外通告を受けて12球団合同トライアウトを受験も、NPBの球団から獲得のオファーはなかった。だが、スタンドから内村に熱視線を送る人間がいた。クラブチーム「REVENGE99」の浅古純一監督、同クラブのスカウト部長で都内の百貨店を中心に加圧トレーニング事業などを展開する「ジェイファムコーポレーション」の桝井継博社長だった。周囲から内村の性格、野球に取り組む姿勢を聞いた上で、「真面目だしコミュニケーション能力が高い。お客様のニーズに応える仕事ができると思った。野球の技術も高い。このまま辞めるのはもったいない」と何度も猛アプローチした。

 熱意は内村に伝わった。今年1月に入社。女性客専門の加圧ビューティーテラスで平日は加圧トレーナーとして働く。利用客に体の筋肉の部位、摂取した方が良い食べ物をたずねられることも。勤務の合間に栄養学、運動生理学、解剖学を勉強する毎日。帰宅は午後9時過ぎになる。

 土、日はクラブチームで活動。自前の野球グラウンドがないため、午前5時前に起床して電車で茨城、埼玉、千葉、神奈川の試合会場に行く。ダブルヘッダーで1日10打席立った日もあった。「野球道具も自分で持って電車に乗ります。球場にシャワーがない場所もある。でもそんな環境でも楽しい。プロは毎日試合があってしんどい時もあった。今は土日の試合前になるとワクワクする。1軍でプレーしていた時の楽しさに似ていますね」と目を輝かせる。

 内村は野球から離れた時期があった。山梨学院大付高を卒業後、社会人野球のJFE西日本に所属したがスランプで自信喪失し、3年目に退社。2カ月間ほとんど家に引きこもるフリーター生活を送った。「もう一度野球をやりたい」とBCリーグ・石川にテスト入団して初代盗塁王を獲得し、楽天に育成契約で入団。新人の08年に支配下昇格を勝ち取り、通算100盗塁と俊足巧打でファンの心をつかんだ。

 「REVENGE99」では不動の「1番・遊撃」。練習試合では格の違いを見せ、通算打率5割を超える。加藤正志(27、元楽天)、金平将至(26、元日本ハム)、中川誠也(23、元中日)も今年から加入。野心に燃える仲間たちと、今は新しい夢がある。「チーム名じゃないけど、再び立ち上がりリベンジしたい。僕の人生がそうですけどやり返したいというか。企業チームに勝って都市対抗に出場したい。負けたくないです」。身長1メートル63の小さな体で幾度の困難を乗り越えてきた。まだ31歳。新しい環境でも大好きな野球に情熱を燃やす。(記者コラム・平尾 類)

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